「経理って転職しやすいの?」「転職市場で引くてあまたなの?」と思ったことはありませんか?
経理職はどの会社にも必ずあり、経理への転職を考えたことのある人も多いのではないでしょうか。
実は正しく実務を経験すれば、キャリアが面白いように積み上がるのが経理職です。
私はこれまで人材紹介の事業責任者として、一流企業から中小ベンチャー企業に至るまで数百件以上の経理職の求人案件の依頼を受けてきました。
同時に、大手転職支援サービスでキャリアコンサルタントとして、100人を超える経理職の転職支援を成功させてきました。
なぜ、それほどまでに転職サポートが可能だったのかというと、ひとえに経理職が転職しやすい職種だからです。
もちろん転職せずに、経理のスペシャリストとして経験を積み、将来的には「CFO(最高財務責任者)」をキャリアの終着地として目指す選択肢もあります。
参考:CFOになるには?役割は?年収高い?資格は必要?
もしも、いま学生の私が目の前にいるなら、迷わず経理職を選ぶようにアドバイスするほど、キャリアを構築するにはもってこいの職種なのです。
しかし経理は毎月の給与や会社のお金の動きを管理するため、一見やりがいがありそうですが「転職して後悔した」という声もゼロではありません。
ではなぜ経理に転職して後悔したのかも詳しく解説します。
【2024年5月2日最終更新】
目次
経理が引く手あまたで転職しやすい理由
経理経験者は、他の事務などの他職種に比べると引く手あまた・転職しやすい立場にある職種です。
その理由は以下の通りです。
- 数値管理能力を評価されやすい
- 資格取得に励むと人物面を評価されやすい
- どの企業でも必要とされているため一定の求人ニーズがある
- 実務経験と求人がマッチすれば転職しやすい
- 引く手あまたな経理は現場にアドバイスできる人材
順番に解説して参ります。
数値管理能力を評価されやすい
多くの企業では、社員に対して簿記検定の取得を薦めたり、社員教育として財務会計の研修を実施しています。
その点、経理経験者は現場レベルでの実務経験があるため、経理の実務経験者は数値管理能力などを武器に、他の職種への転職も可能です。
20代や30代前半までなら、将来の幹部候補として経理職の人材を採用する考えの企業があります。
ドンブリ勘定だった営業体制を見直すために、経理経験者であっても営業職に採用を考えているベンチャー企業もあります。
経営企画部の求人募集で経理畑出身を歓迎しているのは、決算等でお金の流れを実務で経験した、数値管理能力に期待をしているからです。
資格取得に励むと人物面を評価されやすい
経理職には、関連する資格が数多くあります。
公認会計士や税理士といった上位の国家資格でなくても、簿記や英文会計など自分自身で目標を設定し勉強に取り組んでいることで、真面目で向上心が高いと人物面を評価される傾向にあります。
会社の資金を取り扱う職種上、誠実さや勤勉さが備わっているかどうかも、経理職の採用において企業が見ているポイントにもなります。
勿論実務経験者に勝ものはありませんが、たとえ未経験であっても簿記で経理の基礎を勉強していたり、社内での人間関係を良好に構築できる点で人物面を高く評価され、採用されるケースも珍しくありません。
どの企業でも必要とされているため、一定の求人ニーズがある
全ての会社は決算書の作成が法律で義務付けられているため、経理はなくてはならない重要な存在です。
「経理はつぶしがきく」と言われるのは、経理はどの企業でも存在している点や、国内で同じ法律やルールに基づいて業務を行っているからです。
欠員になれば、すぐに募集して人員を確保しなければなりません。
最近増えているM&Aや海外子会社との管理会計などにおいても、経理人材には一定の求人ニーズがありますね。
実務経験と求人がマッチすれば転職しやすい
経理の場合、職務経歴書に書かれてある実務経験によって内定がほぼ決まることが少なくありません。
そのため、希望するスキルを保有している応募者かどうかが企業側の最大の関心事と言ってもいいでしょう。
ヒアリングに企業を訪問しても「連結決算書の作成経験者はいますか?」「有価証券報告書作成者はいますか?」などと真っ先に質問が飛びます。
言い換えるなら、スキルがマッチングさえすれば、転職が可能と言えるの引くてあまたの市場価値の高い人材になれるという訳ですね。
引く手あまたな経理は現場にアドバイスできる人材
経理職の中でも特に転職市場で評価されやすい引くてあまたなのが、現場にアドバイスできるコミュニケーション能力を持った経理人材です。
例えば具体例を挙げると「本来であれば◯◯◯なのでNGなのですが、もし□□□であれば可能になるかもしれません。だからお客さんには△△△のような形で交渉してみてはどうでしょうか」と営業に伝えられるような経理人材です。
ただ目の前の仕分け業務を行ってOKかNGかだけでなく、どうすれば営業としていい結果が生み出せるかを経理的な視点からアドバイスしたり提案してもらえたら営業にとっては非常にありがたいので、重宝されるでしょう。
経理から転職しやすい職種例一覧
経理から他職種へ転職しやすい理由は前述した通りですが、実際に転職しやすい職種の実例についていくつか紹介して参ります。
- 経理職▶︎営業職への転職
- 経理職▶︎事務職への転職
- 経理職▶︎経理職(同職種)
経理職▶︎営業職への転職
経理職として経験を積むと、必然的に数字に強くなり組織の経営状況を数字という面で把握できるようになります。
そのため、顧客をお金の面でサポートする金融機関の法人営業職や店舗の経営サポートを行うコンサル営業職などに転職することもできるでしょう。
経理職▶︎事務職への転職
経理はバックオフィス系職種の中でも専門性の高い職種のため、経理以外のバックオフィス系職種への転職は比較的容易と言えます。
特に事務職に関しては、もちろん会社によってどのレベルの範囲を任されるかも異なりますが、基本的には通用する(転職できる)と考えて間違いありません。
経理職▶︎経理職(同職種)
もちろん、別職種ではなく同じ経理としての経験を活かし別の条件の良い会社へ転職するという選択肢もあります。
経理職は他の職種と比較して求人数が多く、人手が枯渇している企業の数が多くなっているため、同職種に関してもかなり引く手あまたの状況となっています。
一般的に、40代〜50代の中高年と呼ばれる世代の求人は少なく「転職しにくい」と敬遠されがちですが、経理経験者であれば転職市場はまるっきり変わってきます。
中高年であっても、経理経験という専門知識を身につけておくこととマネジメント経験があれば、経理部長のような経営幹部に近しいポジションで受け入れてくれる会社は増えます。
ただし経営幹部クラスの求人はあまり転職市場に出回らないので「中高年に強い転職エージェントおすすめ」などを活用して非公開求人を紹介してもらう必要はあるでしょう。
経理経験者の転職を更に有利にするポイント
経理経験者がより有利に転職活動を進めるためには、何をするのが良いのでしょうか?
ここでは企業から高い評価を得られるための方法について、具体的に説明をしていきましょう。
経理の資格取得に力を注いで転職する
簿記検定や税理士資格などを取得することで、自己PRにつながります。
特におすすめなのが、簿記論や財務諸表論、法人税法などといった、税理士資格の科目合格です。
税理士資格は税務が中心と思われがちですが、簿記論や財務諸表論などは、会計人としては必要不可欠の知識です。
働きながらの場合、5科目合格には時間がかかりますが、1科目でも合格しておくと、転職の際に担当者からの印象がアップし有利になります。
私が担当した人でも、未経験で経理の実務経験はなかったものの、税理士科目に2科目合格している段階でしたが、大手飲食メーカーの関連会社で、経理経験者と二人同時に採用されたことがあります。
応募先企業が欲しい人材像を把握する
応募先企業がどんな仕事をしてくれる人を求めているかを把握しましょう。
大手企業の場合、より専門的な業務をしてくれる人材を求めている傾向にあります。会社の規模が大きい分、仕事をする社員が多く、一人一人の担当する業務内容が狭く深くなるからです。
一方、中小企業の場合は規模が小さく少ない人数で仕事を回していくため、幅広い業務のできる人材を求めている傾向にあります。
大手企業の経理 | 業務範囲が狭い▶︎スペシャリスト |
中小企業の経理 | 業務範囲が広い▶︎ゼネラリスト |
あなたが大手企業の経理で、ある分野に詳しいなら、その分野の仕事をしてくれる人を探している会社を見つけましょう。ニーズとあなたのスキルがはまったら今より年収アップが可能です。
そのため求人内容を確認するとき「経理」という職種だけでなく、具体的に経理のどんな仕事なのか、というところまで読み解く必要があります。
求人サイトの求人票にそこまでの情報が載っていないなら、経理に強い転職エージェントを活用して担当キャリアコンサルタントから詳しい業務内容を確認したり自分にあった求人を探してもらったりしましょう。
経理に強い転職エージェントに相談をする
経理に強い転職エージェントに相談をするのも一つの方法で、現在の転職市場の動向や適正な年収なのかも教えてくれるでしょう。
マーケットにおける自分自身の市場価値を知ることで、転職をするべきか留まって実務経験を積むかの判断が可能になったり、資格取得に励むなど取るべき行動が明確になってきます。
仕事に不満を持って相談に訪れた人が転職エージェントに相談することで、今の職場が恵まれている環境だったと知り、転職をしない決断に至るケースもあります。
最適な選択をするためにも、転職エージェントを積極的に活用してみましょう。
経理の転職に強い!優良おすすめ転職エージェント
実務経験にプラスアルファする
社内で同じ業務を繰り返していると経験が積めない恐れがありますので、別の部門に異動を打診したり、転職を考えることもあるでしょう。
業務そのものを変えることはできなくても、経理作業の無駄を省いたり効率的な業務改善を行うことによって、コスト削減につながります。
経理業務以外の取り組みを行うことで、会計コンサルティングの会社に転職を果たした人もいるくらいです。
実務経験が積めそうにない場合でも諦めず、業務改善が提案できる人材になりましょう。
転職しやすい経理になるメリット
求人が豊富
経理は求人が多い職種です。大手転職サイトのdodaで確認すると100,000件近い経理の求人があります(2024年現在)。
会社を経営していくためには経理が絶対に必要なため、これからもなくならない職種といえます。
また、業種が変わっても決算書の作り方はほぼかわらないので業種を限定せず幅広く転職活動を行うことができます。
高収入の求人が多い
経理は年収が高く条件のいい求人が多い傾向にあります。年収600万円以上の求人はよく見かけますし、年間休日130日の仕事もあります。
人柄重視の面接
営業や編集と比べて、実績より人柄重視の面接になります。目に見える数字で能力を測ることができないので「どんな経験を何年してきたか」がアピールポイントになります。
5年ほどずっと経理をされてきた方は「経験の豊富さ」をアピールできます。
40,50代でも転職先がある
経理は規格に沿って行う業務がほとんどのためほかの職種と比べて40,50代でも転職のしやすい職種です。
妊娠や出産などで一度会社を辞めてからでも再就職先の見つけやすいことも魅力です。
株式投資や家計管理能力があがる
決算書が読めるようになるので、プライベートで行う株式投資などのスキルも向上します。また、管理会計の考えを家計に活かすことができるので、家計管理が楽になります。
経理の仕事で得た知識とノウハウをプライベートで活かすことができるのです。
経理への転職は後悔する?
経理に転職して後悔した理由としてよく挙げられるのは、
「未経験の場合、経理の知識をつけるまで大変」
「毎月のルーティンが決まっているのでつまらない」
「決算時の繁忙期が大変」
「仕事内容に給与額が見合ってない」
などが挙げられますので順番に解説します。
未経験の場合経理の知識をつけるまで大変
経理には帳簿記録や支払い、決算などの業務があり、会計に関する専門的な知識が必要のため、商業校出身の人や簿記の資格を所有している人が採用されるケースが多いです。
経理未経験者を雇ってくれる会社もありますが、まったく無知のまま入社するとまずは会計の仕組みを把握するところから始まるので少し大変です。
実際に業務していく上で学ぶこともありますが根本的な知識は業務外での勉強が必要でしょう。
毎月ルーティンが決まっているのでつまらない
毎月ルーティンが決まっているのでつまらないのは経理経験者の多くが感じていることのようです。
経理は基本的に毎日のお金の流れを帳簿に記録、毎月取引先への支払い、月次決算や年次決算など1日、1ヶ月、1年を通してルーティンが決まっています。
同じ業務の繰り返しのため、一度覚えてしまえば仕事の知識が増えることも仕事の幅が広がることもないため、やりがいや成長は他の仕事に比べて感じにくいといえるでしょう。
時には電話対応などもありますが、経理のみの業務では社外の人とコミュニケーションをとることもほとんどなく新鮮さや面白みを感じることも少ないです。
決算時の繁忙期が大変
決算時が大変というのは、経験や年数に関係なく経理担当者がみな感じることで、普段から給与や支払いなどお金を扱う部署なのでミスは許されませんが決算となればより一層気が引き締まるというもの。
なぜなら資産や負債など社内の全てのお金を計算し、一年のお金の流れ、財務状況を明らかにし、正確に税務署に報告する必要があるからです。
決算に必要な資料作成、領収書の整理、税金の申告や納税などとにかく仕事量が決算時は増え、すべて期限内に終わらさなければいけないので大変です。
仕事内容に給与額が見合ってない
上記の理由を踏まえた上で給与面でも後悔したという声も挙がっています。
一般事務に比べると経理事務の給与額は高めに設定されていることが多いですが、会社全体の財務を握っている部署として考えると決して高い額ではありません。
給与が特別高かったら頑張れることでも、人並みまたはそれ以下となると頑張れない人もたくさんいるでしょう。
さらに経理は他の部署に比べ給与が上がりづらいという点が経理に転職して後悔した理由とされています。
経理への転職に有利な経験スキルは?
経理に転職すると後悔する理由を紹介しましたが、仕事に対して求めるものや譲れないものは人それぞれ違い、むしろ経理に向いている人や経理への転職に有利な経験をたくさん持っている人もいます。
簿記資格所有者or商業校出身者
会社は即戦力を求めていますので、簿記資格所有者は経理に転職する上で有利です。
資格を所有していなくても商業校出身の人は学校の授業で簿記を習っていたことから基本的な知識があると判断され有利になるケースもあります。
経理セミナーに参加する
簿記の資格を取得するためには勉強し合格する必要がありますが、企業が企画し一般の人でも参加できるような経理セミナーなどに参加すると、一日である程度の知識をつけることが可能です。
直接転職に有利になるわけではないですが、知識をつけておけば簿記の勉強時には役立つことでしょう。
資格とは違い履歴書にセミナー参加歴などを書くことはできませんが、職務経歴書や面接時に口頭で経理セミナーに参加したことがあるとアピールする事ができます。
セミナーに参加すると簿記の勉強だけでは得られない実務的な知識もつくのでおすすめです。
PCスキルがあるor事務経験者
今の時代、どの職業でもPCスキルは欠かせない存在であり一番の商売道具で、経理でも仕分けや決算時の資料作成など毎日PCを使います。
巧みに使いこなせるほどでなくとも、マウスやキーボードの使い方など基本的な動作は勉強しておいたほうが良いですし、PCが使えると履歴書を見ただけでわかるように、情報処理などのPC関係の資格も取得していると有利です。
一般事務や営業事務などの事務経験者が有利になる可能性もあり、経理事務の経験がなくとも、他の事務を経験したことがあればPC操作と電話対応ができるというアピールになります。
経理に向いている人は以下2つに当てはまる人です。
コツコツした業務が得意な人
経理は今でこそ電卓を使っての計算やPCでの作業増えましたが、以前は給料や請求書の計算を全て手計算、たくさんある日々の仕分けを帳簿に書くなどコツコツした業務が多かったです。
現在でも給与の振込前や請求額の支払い前は人の目で一つ一つチェックする会社は多いので、そのようなコツコツした業務が得意な人には大変向いている職といえます。
細かいところに気がつく人
経理の業務ではたった1円のミスでも表全体の数字が変わってしまうなど大きなミスに繋がります。また取引先から届いた請求書や資料も必ずしも正解であるとはいえません。
隅々までチェックし、細かい間違いに気がつく人であれば大きなミスを事前に防ぐことができます。
経理経験者は転職しやすいが故の注意点
経理経験者は転職がしやすいがために、気をつけなければならない点があります。
それは、以下3つです。
ジョブホッパーにならない
経理はスキルマッチングの要素が強く、求人のニーズも高いため、転職しようと思えば可能です。
たとえば、税理士事務所であれば一年中どこでも募集をしています。
しかし、一度安易に転職をしてしまうと、気に入らないことがあるたびに転職を繰り返すようになり、キャリアがつかない恐れがあります。
転職を何度も繰り返すような、ジョブホッパーにならないように注意をしましょう。
キャリア面だけでなく、転職する先の会社のグレードもダウンして行く傾向にあるため、後悔する人は少なくありません。
資格マニアにならない
過去に、税理士・米国公認会計士・社会保険労務士・中小企業診断士と4つの資格を保有している候補者がいました。
いずれも難易度の高い資格です。
しかし、資格が多すぎて何が主たるキャリアなのかが分かりにくくなり、専門的な実務経験を持つ他の候補者に、選考で負けてしまうことがあります。
魅力的な資格だと感じても、簿記論や財務諸表論、法人税法など業務に関連する資格を中心に取得することをおすすめします。
安易なキャリアチェンジは控える
やりがいを求めて、経理から保険の代理店営業に転職をした人がいたのですが、厳しいノルマがあり、営業が思うようにできませんでした。
経理としてのこれまでの経験を活かすどころか、新しい仕事自体に慣れないため、再び転職を考えることになってしまったのです。
「やはり経理に戻りたい」と思い転職活動をしたものの、キャリアに一貫性が無いという理由から経理職での再就職は長い時間を要しました。
一度キャリアチェンジをすると、再び経理に戻ることは可能ですが、税理士事務所などの一般企業以外での転職先しか確保できないなど、キャリアが行き詰る可能性が高くなります。
未経験から経理への転職は難しい?
未経験から経理への転職は難しいと言われる理由について2つに分けて解説して参ります。
未経験でも応募可能な求人が少ない
未経験からの経理への転職は難しいといえますが不可能ではありません、なぜかというと未経験でも応募可能な求人がそもそも少ないことです。
企業によりますがいくら簿記の資格を所有していても実務経験がないと採用しないという企業もありますので、まずは未経験でも応募可能な求人を見つけましょう。
反対に未経験でも簿記の資格を所有していれば採用してくれる企業もありますので、やはり経理に転職を考えている人は、簿記を勉強しておいて損はありません。
採用時に簿記資格を所有していなくても転職後に取得してほしいと企業側に言われる場合もあります。
簿記の勉強時間が確保できない
ここで次に難しい理由として、簿記の合格率は低く勉強時間がたくさん必要とされることです。
もしあなたが在職中に転職活動を行ない、同時に簿記の勉強をするとしたら1日に何時間勉強時間がとれるでしょうか。
よく耳にする日商簿記三級の合格率は40%~50%で、個人差はありますが合格するために必要とされている勉強時間は約100時間と言われています。
日商簿記三級は基礎知識レベルなので、企業側は日商簿記二級の所有者を求めていることが多いです。
二級、一級と級があがるごとに内容が難しくなり合格率が下がり、二級の合格率は25%前後、必要勉強時間は簿記三級所有者で約250時間から350時間、簿記初学者なら350時間から500時間と大変難しくなります。
このように経理事務への転職の準備ともいえる資格取得に必要な勉強時間をとることが難しいという声もあります。
経理未経験の転職面接で聞かれること
経理職への転職面接で未経験者が聞かれる可能性のある質問は以下の通りです。
- 経理職に興味を持った理由は何ですか?
- 経理や財務に関連する知識を得るために何をしてきましたか?
- 数値に基づいて問題を解決する際の具体的な経験は何かありますか?
- 高度なExcelスキルを持っていますか?それをどのように使用した経験がありますか?
- 細部にまで注意を払うことの重要性についてどう思いますか?
- 経理職への転職に向けて自己投資をする意義を説明してください。
- あなたが理想とする経理職の働き方や環境は何ですか?
「経理や財務に関連する知識を得るために何をしてきましたか?」の質問に関しては経理への意欲を見られているため、セミナーの参加、書籍の閲覧、オンラインコースの受講などと回答すると良いでしょう。
経理未経験の面接では志望動機についても深掘りして聞かれる可能性が高いので、以下に例文を載せておきますので参考にされてみてください。
経理未経験の転職志望動機例文
前職では自分の仕事が企業全体の経営にどのように影響しているのか具体的に見る機会が少なかったですが、経理職では会社の財務状況を直接的に把握し、経営の意思決定に寄与することが可能だと理解しています。
プロジェクトの予算管理やコストコントロールに関わる機会があり、経理が企業運営における重要な役割を果たすことを理解しました。これまで築いてきたスキルを生かしつつ、経理という新しい領域でキャリアを深めていきます。
細部にまで注意を払いながら複雑な業務を整理し、完成に導くことに喜びを感じていますので、企業全体を理解しより貢献することができるスキルを身につけたいと考えています。
実際の面接では経理の知識や技能、経験、人間性、コミュニケーション能力、組織への適応性など、多方面からあなたを評価する可能性があります。
そのため、経理の転職に強いdodaやMS-Japanなどの転職エージェントを活用して事前に対策を行っておくことをおすすめします。
経理への転職でスキル不足を防ぐ方法
資格を習得する
経理への転職でスキル不足を防ぐには、やはり資格取得が第一歩でしょう。
簿記やExcel関係の資格を所有しておくことで実務的なスキルが不足していてもある程度カバーできますし、資格は履歴書の時点で確認できるので、書類選考で落とされることも少なくなります。
いまの時代スマートフォンさえあれば、簿記の勉強動画を無料で視聴したり過去問を閲覧したりなど簡単にスキルアップできます。
得意分野の経理求人を狙う
またスキル不足をカバーするには、あなたの得意な分野の企業の経理に転職を考えてみるのもよいでしょう。
例えば、車が好きならば車業界、美容が好きならば美容業界の経理など直接経理の業務に関係なくとも全く無知の業界に飛び込むより、趣味程度であってもその業界に関する知識があるだけで道は広がるかもしれません。
コミュニケーション能力を活かす
面接では、あなたのスキルも必要ではありますが人間性や面接時の会話を重視する企業もあるためです。
面接時に気に入ってもらうことができればそれもあなたがコミュニケーション能力でスキル不足をカバーしたといえるでしょう。
表面上のスキル不足を補うことも大切ですが、仕事に体しての姿勢などでスキル不足をカバーできる点もたくさんあります。
自分の強みを活かしてスキル不足はできるだけカバー、または不足していると感じているところの改善に努めましょう。
経理の仕事が難しい・辞めたい場合は?
実際経理に転職した人でも仕事が難しく辞めたいと思うことがあるようです。
辞めたい理由として一番多くいわれているのが、やはりつまらないという問題で、最初にもお伝えしたとおり、簿記の仕事はルーティンが決まっています。
向上心のある方や、仕事にやりがいを求める人にとって経理はつまらないと感じてしまうのでしょう。
反対に仕事にやりがいは求めず安定した環境や人間関係だけを求める人には向いているのかもしれませんし、給与額に満足できず辞めたいと思う人もいます。
会社の経理を担当していると聞くと、すごい!となりますが現実は思っているより大変なのかもしれませんが、専門的な知識がついたりお金に詳しくなったりなどメリットもたくさんあります。
実録!経理転職者の転職成功体験談
37歳で転職に成功したとある経理マンをご紹介しましょう。
中堅の電子メーカーで経理を経験していたAさん。
社内で告知されていた早期退職の募集を見て、「いずれ肩たたきに合うかもしれない。今のうちに転職を」と、私の元にお越しになられました。
Aさんの強みは連結決算業務でした。
勤務する電子メーカーには、海外に子会社があり、Aさんは連結決算書の作成を任されていました。
37歳という年齢と、語学力の2点においては他の候補者に劣りましたが、最終的に、国際的な電気製品を展開する大手メーカーに転職が決まったのです。
英語力については、外国人上司からレベルアップするよう要求をされましたが、
・同じメーカー出身である点
・誰とでも打ち解けるコミュニケーション力
・海外子会社との連結決算業務
上記3点を高く評価された結果、転職成功を果たしたのです。
年収750万円から年収820万円にアップし、若手を束ねるリーダーとしてマネジメント業務を任されるなど、実務においてもキャリアアップを果たしたのです。
経理の転職に強い!優良おすすめ転職エージェント
経理職の転職は大企業と中小ベンチャーどっちが良い?
経理職の転職を考えたとき、大企業へ転職するのか、それとも中小ベンチャーへ転職した方がいいのか悩む人は少なくありません。
そこで、それぞれのメリットとデメリットを挙げてみました。
大企業の場合 | 業務が細分化されています。ある特定の分野を担当することで、スペシャリストとして、キャリアを積むことが可能になります。 |
中小ベンチャーの場合 | 経理部が財務や総務や人事部を兼ねている会社が多く、経理に特化した業務経験を積みにくい傾向にあります。そのため、何でもできるゼネラリストとして広く浅いキャリアになりがちです。 |
どちらを選ぶにしても、自分自身の志向性が大切です。
専門性に特化したスペシャリスト志向なのか、オールマイティーに仕事ができるゼネラリスト志向なのかによって進むべき道を選択しましょう。
年代別の経理の転職を成功させる方法
経理の転職を成功させる方法について、20だい・30代・40代・50代と年代別にそれぞれの経理転職市場の特徴を加味しながらお伝えして参ります。
20代経理の転職成功方法
経理のスキルを積極的に身につける
20代はまだ経験が浅いため、経理の基礎知識を身につけることが重要です。業務に必要なスキルや知識を習得するため、講座や研修に参加するなど、主体的に学ぶことが大切です。
キャリアアップに向けたステップアップ
20代は転職回数が多い傾向があるため、現在の会社での経験を積み重ね、次のステップに進むための準備をしておくことが必要です。
具体的には、ミドルレベルのポジションに就くためのスキルや経験を積むことが望ましいです。
30代経理の転職成功方法
業務の幅を広げる
30代はある程度経験を積んでいるため、単一の業務に固執するのではなく業務の幅を広げ、多角的に見ることが重要です。
たとえば、総勘定元帳や財務諸表以外の業務にもチャレンジすることで、業務の幅を広げることができます。
経理以外のスキルを磨く
30代は、経理以外のスキルも磨くことが重要です。たとえば、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力などは、管理職になる際に必要不可欠なスキルです。
40代経理の転職成功方法
豊富な経験をアピールする
40代は経理の経験が豊富なため、自分の経験をアピールすることが大切です。業界や職種を問わず、過去に経験したことや成果を示すことで、自分の力をアピールできます。
次のキャリアプランを考える
40代は管理職に就くことを視野に入れることも重要です。次のステップに進むためには、自分自身がどのような能力を持っているかを明確にし、必要なスキルや知識を活かせる次のプランを考え始めるようにしましょう。
50代経理の転職成功方法
50代で経理の転職を成功させるためには、以下のような方法があります。
自己PRをしっかりと作成する
50代は経験豊富なため、過去の実績やスキルをアピールすることが大切です。自己PRをしっかりと作成し、自分自身をアピールできるようにすることが必要です。
最新の経理知識を身につける
50代で転職をする場合、最新の経理知識を身につけることが求められます。例えば、最新の会計ソフトウェアや経理システムに詳しくなることで、自分自身をアップデートすることができます。
人脈を活用する
50代で転職をする場合、自分自身が持つ人脈を活用することができます。過去の職場やビジネスパートナーとの関係を活用して、転職先を見つけることができます。また、SNSなどのネットワークを活用して、求人情報を集めることもできます。
ヘッドハンティングを活用する
50代で経理の転職を考えている場合、ヘッドハンティングを活用することも有効です。ヘッドハンティングを行っている企業は、優秀な人材を求めており、50代であってもチャンスがあることがあります。
ビズリーチやdoda X(旧:doda IX転職)のようなヘッドハンティング会社に登録し、自分自身をアピールすることが大切です。
前向きな姿勢で臨む
50代で転職をする場合、自信を持って前向きな姿勢で臨むことが大切です。年齢や経験があることは、転職先での価値を高めるポイントでもあります。自分自身を信じ、積極的に転職活動を行うことが成功のカギとなります。
経理は引く手あまた?最新転職市場
経理職は本当に引く手あまたなのかどうか、経理職の最新転職市場という観点からまとめてお伝えして参ります。
- 経理の採用は難しい!採用できない?
- 経理の市場価値は売り手市場?
- 経理の有効求人倍率2023!倍率高い?
- 経理は人手不足だけど未経験は採用されない?
経理の採用は難しい!採用できない理由
経理職経験者の採用は実はどの企業も苦戦していて、喉から手が出るほど採用したいものの採用できないのが現状です。
特に決算業務まで経験している経理経験者はバックオフィス部署を強化したい企業にとってはまさに一番採用したい層である一方、転職市場にはなかなかいないというジレンマに陥っています。
他にも経理職の採用が難しい、採用できない理由は複数あり、
☑️経理は他の事務職と比べて専門性が高い
☑️業務範囲が広く自社業務にマッチしづらい
☑️経理業務の複雑化で企業の採用基準が高い
☑️RPAやAIの台頭で経理職の人気が下降傾向
…etc
上記のような理由で企業は経理職採用に苦戦している現状があります。
経理の市場価値は売り手市場?
つまり経理の市場価値は売り手市場のため、転職したいと経理経験者が思えばすぐに転職できる現状があります。
目安として決算業務3年以上経験があればまず転職先に困ることはないでしょうし、1年前後で経理業務の経験が浅くても年齢によっては転職先の門戸が開かれている可能性が高いです。
経理の有効求人倍率2023!倍率高い?
厚生労働省が公開している「職業別一般職業紹介状況[実数](パート除く常用) 」によると、「会計事務の職業」は2023年3月で0.70倍となり、倍率は低めとなります。
経理若手経験者層なら小口現金、売掛金、仕訳、請求書、経費精算関連などの日次業務や決算補助の経験も評価の対象となりますので倍率が高いです。
経理は人手不足だけど未経験は採用されない?
経理は人手不足が続いていますが、未経験者の場合は採用のハードルが高く採用されないのも事実です。
そのため未経験から経理にチャレンジしたい場合は資格を取得し経理業務へのやる気や熱意をアピールすることが求められます。
経理職の転職でポジション問わず有利に働く資格は、日商簿記検定1級、税理士科目、公認会計士試験短答式などが挙げられるでしょう。
経理への転職はやめとけと言われる理由
経理への転職はやめとけと言われる理由はいくつかあって、業務の性質や繁忙期などの要素が重なって辛いと感じることも比較的多い職種であることが理由の一つ。
特に企業の決算が集中する3月〜5月は大忙しで、残業が深夜になることも多く業務量も膨大になります。
また近年、AIの技術が進歩する中で、経理の仕事がAIによって奪われるかもしれないこともやめとけと言われ理由の一つでもあります。
マネーフォワードや楽楽精算、freeeなどの経理会計システムを上手く活用しながら、AIが発達しても経理人材として生き残っていくスキルを身につける必要があるでしょう。
経理人材は不足している?市場価値ニーズ
経理人材は長らく新規求人倍率が1倍超を保っており、慢性的な人手不足が続いている状況です。
特に決算業務に加えてIPOやIPO準備を経験した経理は市場価値のニーズが高く、さまざまな企業から声がかかり引く手数多となります。
経理職の中でも漫然と日々の業務に忙殺されるのではなく、決算業務やIPO業務など市場価値の高いスキルや経験を身につけることで、更に経理人材として市場価値を上げることができるでしょう。
経理は転職しやすいのかに関するQ&A一覧
経理を辞めたいと思う理由
経理を辞めたいと思う理由は人によって様々ですが、代表的なものをいくつか挙げてみます。
単調な業務に疲れた
経理業務は、定期的な仕訳や伝票処理、帳簿管理など、単調な作業が多いため、モチベーションが維持しにくいと感じる人がいます。
過度の責任やストレスに悩んでいる
経理業務には、正確性や適時性が求められるため、ミスが許されない責任が伴うことがあります。また、月次や年次の締め作業には、多忙な時期があり、ストレスを感じることがあるかもしれません。
キャリアアップの道が限られている
経理業務は、基本的には定型業務が中心であり、キャリアアップの道が限られていると感じる人もいます。
新しい業界や職種に挑戦したい
経理業務に従事している中で、新しい業界や職種に興味を持ったり、自分の能力を別の分野で試したいと思う人がいます。
勤務時間や待遇に不満がある
経理業務に従事している中で、勤務時間や待遇に不満を感じる人がいるかもしれません。
以上のように、様々な理由から経理業務に疲れてしまったり、別の分野でのキャリアアップを目指したいと思う人が、経理を辞める場合があります。
経理は人材不足?最新転職市場
経理は一般的には需要が高い職種の一つですが、地域や業種、企業の規模などによって需要と供給のバランスが異なるため、一概に人材不足かどうかを判断することはできません。
しかし近年は企業のグローバル化やビッグデータなどによる業務の複雑化、そして新型コロナウイルス感染症の影響によって、経理業務の重要性が高まっており、特に中小企業では、経理業務を担当する人材が不足しているケースがあるようです。
また、労働力人口の減少や高齢化などによって今後はますます人材不足が深刻化することが予想されますので、経理業務を担当できる人材を育成することや、効率的な業務システムを構築することなどが求められています。
経理の仕事はAIで将来なくなる?
経理の仕事が将来なくなるかどうかについては、業界や企業の動向、テクノロジーの進歩など多くの要因が影響するため、一概に答えることはできません。
しかし、近年はAIやロボット技術の進歩によって、経理業務の自動化が進んでいます。例えば、会計ソフトやERPシステムの導入により、伝票処理や帳簿管理などの煩雑な作業が自動化され、人的ミスを減らすことができます。
また、ビッグデータの活用により、データ分析に精通した人材の需要が高まっているため、経理業務においてもデータ分析の能力が求められるようになっています。
一方で、経理業務には正確性や適時性が求められるため、業務全体を自動化することは難しいとされていますし、税務や会計基準などの法律や規制の変更にも追従する必要があるため、専門性や知識が求められる職種であると言えます。
総じて、経理業務の一部が自動化される可能性はあるものの、業務全体が消滅することはなく人的な要素や専門知識が必要な職種として残ると考えられています。
経理に強い転職サイトは?未経験者も
数ある転職サイトの中でも、特に経理職の転職に強いのがdodaとMS-Japanで、豊富な経理求人と転職実績を誇ります。
dodaは業界最大級の求人数を保有しているため経理未経験者でも歓迎とする求人も多く、これから経理に未経験で挑戦したいという方にもお勧めの転職サイトです。
MS-Japanは経理などバックオフィス専門の転職サイトのため、経理経験者が更にキャリアアップしたいと考えている場合にお勧めの転職サイトと言えるでしょう。
どちらも経理転職に必須とも言える転職サイトなので、可能であればdodaとMS-Japanの2社を併用して経理における転職活動を進めて頂ければ幸いです。
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