2017年3月28日に公表された「働き方改革実行計画」の中で、労働時間の上限規制に関する具体的な方向性が示されましたが、以下のようによく理解できていない方も多いのではないでしょうか。
・残業上限規制はいつから施行されるのか?
・時間外労働の上限規制案で何が変わるの?
・繁忙期は過労死ラインを超えてもOK?
・働き方はどう変わるの?
…etc
今回はこのような疑問を持った働く方に対して「残業上限規制」について分かりやすくご説明していきます。
プレミアムフライデーの実施など、働きすぎと揶揄されている日本人の働き方を欧米人並みに変えようと政府が試行錯誤をしている中で、その働き方改革の目玉とも言うべきものが今回ご紹介する「残業上限規制」です。
よく理解しておかないと規制をすり抜けた企業に法外な労働を命じられてしまう可能性もありますので、この記事を読んで施行開始前にしっかりと理解しておきましょう。
目次
残業上限規制60時間はいつから開始施行される?
✅いつから施行される?
政府は2017年3月28日「働き方改革実行計画」にて、残業時間の上限規制を設けることを決定しました。
予定では、2019年4月以降の施行開始を目指していますが、過労死ラインと設定されている残業100時間を繁忙期に限るとはいえ、公に認めてしまって良いのかなど課題も残っている現状です。
そのため、2019年導入が実現するか否かはまだはっきりしていません。
✅残業上限規制60時間とは?
現在は36協定を結べばそこで定めた時間まで時間外労働をさせることが可能なため、残業時間の上限は事実上ないものとなっています。
規制のない残業時間に対して厳しい規制を設けようとしているのが今回の議論で、政府案は原則月45時間かつ年360時間、特例として臨時的な事情がある場合に限り年720時間(月平均60時間)という限度を設けるというものです。
現在の36協定の適用除外となる職種についても、対応のあり方を検討している段階です。
残業上限規制100時間はいつから開始施行される?
✅いつから施行される?
前述の「残業上限規制60時間案」同様、2019年4月以降の施行開始を目指していますが、課題が残っているため延期される可能性も考えられます。
✅残業上限規制100時間とは?
労使合意では引き続き残業時間の原則は月45時間までとしますが、その上で業務の繁忙などの理由により、この時間を超えて働く場合は「年間720時間」の上限を設けるというものです。
720時間の枠内であれば、2カ月から6カ月の平均では「80時間」、1カ月では「100時間」を基準に時間外労働をできるようにします。
ただし、月45時間を超える残業は最大で年間6カ月までしかできません。
この「80時間」、「100時間」という数字は、過労死の認定基準を参考にしています。
残業上限規制開始後に60時間・100時間を超えたら?
繁忙期で仕事がどうしても終わらず、「60時間」を超えてしまう場合はどうなるのでしょうか。
前述の通り特例として、
2カ月〜6カ月 | 80時間 |
1カ月 | 100時間 |
上記を基準に時間外労働をできるようにすると決定しています。
たとえその特例を使ったとしても、「年間720時間」の上限は変わりませんので、どの月も「60時間」までしか働けない、あるいは、どの月も「60時間」まで働かないといけないというものにはなりません。
また、「100時間」の残業上限規制には休日労働を含んでいますので、「100時間」を超えた場合には企業側に罰則があるとされています。
しかし「年間720時間」の上限には休日労働が含まれていませんので、休日労働を含むと「年間720時間」を超えても事実上企業側に罰則が課せられることはありません。
思わぬ抜け穴ですね。
非常に分かりにくい制度のため、この分かりにくさを逆手に取り、知識不足の労働者を騙して上限を超えて残業させるようなブラック企業が出てくる可能性も懸念されています。
そうならないためにも、労働者側としても内容については正しく理解しておく必要があると言えるでしょう。
関連:ブラック企業の特徴は面接や求人票からは分からない?見分け方は?【転職エージェント裏事情】
2018年現在の残業上限規制は?
現在は1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させることは労働基準法で禁止されています。
しかし「36協定(サブロク協定)」を結べば、そこで定めた時間まで時間外労働をさせることが可能なため、残業時間の上限は事実上ないものとなっています。
この「36協定」とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」と言います。
労働基準法第36条が根拠になっていることから、一般的に「36協定」という名称で呼ばれていて、会社が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を命じる場合、必要となる届出です。
届出を行わずに従業員に時間外労働をさせた場合は、労働基準法違反となり、罰則を受けることになります。
しかし、平成25年10月に厚生労働省労働基準局が発表した調査によると、中小企業の過半数以上である56.6%が時間外労働・休日労働に関する労使協定を締結していません。
さらにそのうちの半数以上が「時間外労働や休日出勤があるにも関わらず労使協定を締結していない」=「違法残業を課している」ということが判明しました。
つまり、2018年現在の日本では残業条件規制はあってないようなものなのです。
→残業の平均時間を業種別・男女別・国別に徹底比較検証!日本は?
残業上限規制施行はまだまだ!転職も検討を
今回お伝えした通り、残業上限規制の施行は2019年4月からと、まだまだ2018年7月現在からは時間があります。
今現在の会社で既に「残業がきつい」「残業つらい」という状態に陥ってしまっている場合は、心身を壊す前に"転職"を検討してみるのも一つの選択肢としてはアリでしょう。
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