低金利の時代、銀行の収益は悪化の一途を辿っています。
独自の商品性を出せない金融業界のため、金利競争が激化し、収益の上がらない体質となっているのが現状です。
信用金庫で10年勤務をした私が経験し、信用金庫で生きていくために必要と感じたものが2つあります。
それは、「相手のタイプを見抜く目を養うこと」と「謙虚な姿勢を忘れないこと」の2つです
この2つに気づいたとき、新人であった私でも融資の借換や飛び込み営業でも数字を作ることが出来るようになりました。
「プライド」がある人にとって、「謙虚な姿勢を忘れないこと」を実践していくことが難しく、そういう人から順番に信用金庫を去っていく姿をこれまで目にしてきました。
これから信用金庫へ就職する人には必ず読んでいただきたい内容です。
M.Nakata
大学を卒業後地方の信用金庫に新卒で入社し、窓口受付業務から融資担当(個人、法人共に)、稟議書作成、渉外、アフターフォローまで一貫して対応。
転職して金融系の転職エージェントに入社し、金融業界の人を中心に現役で転職活動をサポートしている。
目次
信用金庫への就職はやめとけの理由
信用金庫にまだ就職をしていない人は、この5つの事実を認識したうえで、就職を検討した方がよいかと思います。
この内容は入社前では気づきにくく、実際にどの信用金庫でも起こりうる内容です。
毎月、毎年の項目ごとのノルマ、目標融資金額を達成することが必達
信用金庫で働く方の多くが営業になります。
そのため、毎年様々なノルマを課せられます。融資の数字はもちろんのこと、クレジットカードの契約件数や預金残高の増加率、年金の指定口座数の増加件数など。
他にも支店全体で取り組む数値の管理など日々ノルマとの戦いとなります。
どれもが必達であり、見込み客の発掘ができなければできるまで開放されることはありません。
最終的に、3月の段階で達成されていなければ、当然評価は低くなり、昇進が遅くなります。
時間外での仕事が多い
労働基準法としては8時間を超える労働をする場合、1時間の休憩を取ることと定められています。
就職前の段階では、休みは支店内で順番に取ったり、営業なら自分のタイミングで休憩を取得していると説明されます。
しかし、営業になれば自分のことよりお客様やノルマのことが優先されます。取れるタイミングであれば、昼休みを取れますが、ほとんどの職員が昼ご飯を食べず、書類作成や提案書作成などの事務を行います。
12時台はデスクワークを行い、13時からまた営業活動の再開を行うというのが当たり前いなっているのが実情です。
給料が安い
意外に思われるかもしれませんが、信用金庫の給与は安く設定されています。
成績を上げて、一定以上昇格をすれば最終的に年収1,000万円に到達というのも夢ではありませんが、若いうちはそれほど稼げません。
周りの一般企業に就職をした友人の話を聞いていると、自分がいかに給与が安いのかと思い知らされます。
しかし、一般の方の認識としては高い給与を頂いているという認識の方が多くいます。
年功序列の色も残っているため、若くして出世というのも難しいのが実情です。
満員電車で通勤をする
信用金庫に駐車場はありますが、これは職員用ではありません。
信用金庫の特徴として、本店所在地のある県での営業しかできません。
このため、よほど地方でなければ公共交通機関での通勤となります。
信用金庫側もある程度配慮を行うため、おおよそ1時間以内の通勤となります。
ご自身で早く家を出れば満員電車をさけられますが、帰宅時間などは残業が余りできないため帰宅時の満員電車で帰ることがほとんどとなります。
信用金庫の将来性がない
冒頭でもお伝えしましたが、昨今低金利時代となり、どの銀行、信用金庫も本業で収益が出せない状態です。
更に信用金庫の決まりとして、原則本店所在地以外の件に支店を作ることが認められません。
このため、地方の信用金庫はもともと企業が少なく、個人のお客さんもいないため、収益を上げられない環境にあるといえます。
この結果、別の金融機関と合併することが多くなり、将来性が余り明るいとは言えません。
信用金庫に就職するメリット/デメリット
信用金庫に就職するメリット・デメリットは以下の通りです。
信用金庫に就職をするメリット
1.社会人としての基本が身に付く
信用金庫に入社すれば遅かれ早かれ営業になります。このため、営業としての言葉遣いや礼儀を身に着けることができます。
これは転職をした際も生かせるので社会人としての基礎がしっかりと身に付きます。
2.社長に会える
一般企業に就職をして、社長と話ができる機会というのはそれほど多くはありません。
様々な業界の社長と直に話ができるというのは金融業界の特権とも言えます。
社員ではなく、経営者と話をすることで自分に新しい考えや別の世界を見る機会が増えます。
3.相手のタイプがわかるようになる
信用金庫は物を売る商売ではないため、商品の独自性というものがありません。
よく「人を売り、人を気に入って頂く」と言われ、気に入って頂いたら取引が始まります。
相手がどのようなタイプの人か見極め、その人が心地よい受け答えを行えるかどうかが営業の成績にも結び付いてきます。
このため、経験を積めば相手のタイプが自然とわかるようになり、普段の対人関係もやりやすくなります。
信用金庫に就職をするデメリット
1.年功序列体質が色濃く残る
信用金庫というところは古い体質が残り続けています。
その最たるものが年功序列です。一定年数経たなければ昇格要件になりません。
若くして支店長に抜擢という話はほとんどなく、合っても縁故といった理由での出世でした。
2.出世したいのなら派閥に所属する
どこまで出世したいかにもよりますが、ブロック長ぐらいまででしたら優秀な成績やマネジメントができれば可能性があります。
しかし、その上の執行役員になりたいのであれば、派閥に所属する必要があります。
派閥争いで負けた人はブロック長でも信用金庫を辞めていきました。
支店長になるにもやはり人に気に入られる必要があるため、ある程度の所で誰に気に入られる必要があるか考えることになります。
3.パソコンスキルが身に付かない
社会人として基礎スキルと言っても過言ではないのがパソコンスキルです。エクセルやワード、パワーポイントといったソフトを使う技術のことです。
信用金庫内ではこれらを独自に使うというのは多くありません。
ほとんどが既存のフォーマットがあり、それを編集するだけなのです。
この結果、入力しかできず、関数などを覚える機会がほとんどなく、一般企業の方よりもパソコンスキルが身に付きません。
信用金庫の仕事内容!働くことで身につくスキル
信用金庫で働くことで、業界や会社の特徴がわかるようになります。
信用金庫の特徴として年商数百万円の小さな会社から数億円の会社まで様々な地元企業と取引をします。
このため、小さい会社なりのお金の流れや問題点がわかります。この経験が他の業界でも生かすことができ、特に一般企業の財務担当やコンサルなどに転職をする際に役に立ちます。
財務担当としては、資金繰り表の作成時にどのタイミングで資金が必要となり、銀行融資を受ける際のポイントなどが分かります。
決算書を見れる立場であれば、銀行が好む数値や不利になる勘定科目などもわかるため、融資審査をスムーズに進めることができます。
コンサル業界であれば、これまで見てきた様々な業界の実情を話すことができ、相手にとっては興味のある話をすることで自身の価値を高めることが出来るようになります。
信用金庫の就職難易度は?就活面接難易度
信用金庫に就職したい場合、何社か面接慣れをしておく必要があります。
面接官は何百人という人を面接しています。そういう意味では面接慣れをしていなければ★4つの難しさと言えます。
信用金庫の職員のほとんどが、営業職として働きます。これは支店の中でも同じことです。
このため、相手の話をしっかりきけるか、人当たりはよいか、物事を考えられるかなどを面接の際に見られます。
面接慣れをしていないと、緊張から挙動不審になったり、話している内容に辻褄が合わなくなることがあります。
また、面接回数も3~6回ほどあり、内定を頂くまでの時間が長くなります。
このため、実際に面接をする信用金庫の支店を訪問し、その時の体験談や志望動機を具体的に説明できるようにしておくことが大切です。
支店訪問の際に事前に連絡をしておけば次長クラスの方に対応頂き、その名前を面接時に話せれば説得力が増します。
また、自分が対人関係においてストレスが余りないことや、あってもその発散方法を持っていることを説明できると面接する側にとっても安心材料となります。
信用金庫で就職をするときに意識することは、将来自分がその信用金庫の看板になるということを認識し、面接官の質問に答えることです。
この人になら信用金庫の看板商品になってもらっても大丈夫だと思わせられる態度と受け答えをしましょう。
信用金庫から公務員への転職は可能?
信用金庫に勤めている人が公務員へ転職することは年齢によるハードルがあります。
29歳以下の方であれば、公務員の一般枠へ応募が可能なため、転職の間口は広いといえます。
しかし、30歳以上では、民間経験者採用枠での募集となるため、信用金庫でどのような取り組みをしてきたかをしっかりと伝えられる状態でなければ難しいといえます。
信用金庫に勤めていれば、金融知識や相手への提案力などを磨くことができるため、この点をアピールします。
具体的な転職先として、例えば愛知県なら会計局や企業庁、名古屋市なら財政課や資金課といった部署に絞れば自分が役に立つ存在だとアピールすることができます。
信用金庫に中途採用で転職は可能か
信用金庫へ中途で就職をする場合、営業職での就職がほとんどです。
最初は金融商品を販売することが出来ないため、証券外務員や保険販売の資格を取得することになります。
資格がないときは、見込み客を見つけアポを取り、資格保持者へ取りつなぐといった流れになります。
地方の信用金庫であれば、中途採用を行っている所が多く、中日信用金庫や尾西信用金庫などは窓口職員の募集も行っております。
転職する際の転職理由としては、「接客業が好き」「お客様のためになる仕事がしたい」という内容を加味した転職理由が内定を頂きやすいです。
例えば、「前職でも接客業を行っておりました。経験を重ねる中でよりお客様にとって有意義な提案を行い、喜んでもらえるような仕事をしたいと思うようになりました。その中でも信用金庫は地域密着型の金融機関であり、顧客目線の提案を行い、喜んで頂ける営業ができると思い志望しました。」といった感じです。