「ITエンジニアにキャリアチェンジしたいけど、客先常駐って未経験でも採用されるのかな?」と、疑問に思ったことはありませんか?
30代・40代の未経験者であっても、客先常駐ITエンジニアへの転職を考える人は少なくありませんし、実際に採用されています。
では、なぜ未経験でも中途採用が多いのでしょうか?
それは、客先常駐ITエンジニア(SES)の仕事の大半が、マニュアル化されているため未経験者でも取り組みやすい点が挙げられます。
加えて、客先からの指示によって、客先のシステムを動かす作業がほとんどですので、その結果、技術力のあるエンジニアが「つまらない」と感じて避ける傾向にあります。
だから、未経験でも採用が決まりやすいのです。
私は大手転職エージェントでキャリアコンサルタントとして、ITエンジニアの転職サポートを数多く経験してきました。
そこで得た知見から、今回は30代・40代の未経験者が客先常駐ITエンジニアとして転職する可能性について、徹底的に解説をしていきたいと思います。
【2022年6月29日最終更新】
目次
30代・40代未経験で客先常駐エンジニアへの転職は可能?
経済産業省の「IT 人材需給に関する調査」によると、2030年にはIT人材が最大で約80万人不足することが明らかになりました。
こうした背景から、未経験の30代・40代であってもITエンジニアとして採用する企業が増えています。
マイナビITのITエンジニアへの年代別「異業種からの割合」によれば、40歳代になっても異業種からの転職が多くなっているのが分かります。
このことからも、30代・40代で客先常駐のITエンジニア(SES)に転職することは可能だと言えます。
30代であれば人手不足で困っていたり、教育環境が整った企業であれば、まったくの未経験であっても採用される確率は高くなります。
40代で未経験の場合は、何かしらのITに関する資格を持っていることや、独学でプログラミングを組んだ経験があることなどに加え、周囲とうまくやっていけるかどうかといった人柄もチェックされる傾向にあります。
30代に比べれば難易度が上がってきますので、未経験者が取得すべきITエンジニア系の資格である、
・基本情報技術者試験
・ITパスポート
・CCNA
あたりの資格を取得しておくことが鉄板でしょう。
資格を取得しておくことで、SES企業の人事担当者から「本気でITエンジニアを目指しているんだな」と客観的なアピールに繋がります。
お金と時間に余裕がある場合は、資格のみならず職業訓練学校に通うことで更にITエンジニアの習熟度を上げた状態で転職活動ができるので成功確率高くなります。
30代・40代未経験で客先常駐エンジニアに転職できる人
30代、40代で客先常駐のITエンジニアへの転職は可能であることは前述した通りですが、中でも転職が成功しやすい人の特徴について解説いたします。
年上・年下に関係なく人付き合いができる人
客先によっては、年下の上司から指示を受けることがありますので、そんな時「年下のくせに偉そうにしやがって」と、不満を持つタイプは客先常駐エンジニアとして転職するのは難しいでしょう。
一緒に仕事する人の年齢によってパフォーマンスが左右されない人であれば、客先常駐エンジニアとして続けていくことが可能です。
30代・40代になって客先常駐ITエンジニアとして転職をしたいと考えるなら、「どんな年齢の人が上司になっても大丈夫」と、アピールをすることが重要になります。
指示された通りに作業ができる人
常駐先から直接指示を受けて仕事をする割合が多いため、指示通りにシステムを動かしたり、プログラミングができないといけません。
プラスアルファの仕事を心がけていても、評価につながりにくいため、やりがいを求める人は、客先常駐エンジニアとして長続きしません。
契約どおりに淡々と実務をこなすことができるタイプは、30代・40代の未経験でも客先常駐ITエンジニアとして転職しやすいと言えます。
環境の変化を嫌わない人
客先常駐エンジニアは、客先ごとに仕事場の移動を伴うケースがあります。
色々な会社に行けて多様な経験を積むメリットがある一方、短い期間で次々に職場を転々とすることを余儀なくされる。
そうした落ち着かない職場環境を嫌うタイプだと、未経験であっても採用されにくいでしょう。
反対に環境の変化に柔軟に対応できるような人であれば、30代・40代であっても客先常駐エンジニアとして採用の可能性が出てきます。
客先からの要求を断れる人
客先常駐だからといって、客先の指示を全て実行することが良いわけではなく、場合によってはこなすことができない量のタスクを依頼されてしまうことも。
そんな時、「ここまではできますが、これ以上はできません」と、きっぱりと断れるかどうかも重要なポイントです。
ただし、客先の求める納期や品質などのニーズを満たすことを念頭に置くことができていれば、断ることになっても納得感を得やすくなるでしょう。
30代・40代未経験で客先常駐ITエンジニアで活躍できる人
30代・40代未経験で客先常駐ITエンジニアで活躍できる人と活躍できない人に分けられますので、それぞれ解説をしていきます。
30代・40代未経験でSES客先常駐で活躍できない人
スキルが低い
例えば以下のようなスキルや経験しか持ち合わせていない30代・40代の客先常駐エンジニアであれば、活躍が厳しくなる可能性があります。
☑️ヘルプデスク
☑️サーバーの監視・運用
☑️システムのテスト・改修
☑️古いプログラミング言語
上記のような経験スキルは20代の若手エンジニアに回される仕事であるため、同じレベル感しかないエンジニアであれば年齢の面で不利になっていくでしょう。
下請けすぎる会社
IT業界は下請け構造なので、下請けすぎるSES企業では、スキルがある30代・40代は仕事を見つけることができません。
同じ仕事でも、元請SESであれば100万円もらえるのに、4次請SESだと45万円しかもらえないというケースもザラなので、下請けすぎるSES企業なら、早いうちに転職することをおすすめします。
30代・40代未経験でSES客先常駐で活躍できる人
リーダーや育成経験がある
IT業界で一番不足しているのは、リーダーやマネージャーとしてプロジェクトを管理できるエンジニアのため、設計・プログラミングができるリーダーは非常に市場価値が高いです。
将来的に転職した時に高年収が期待できますし、フリーランスとしても活躍できるため、SES業界で30代・40代も活躍していくのであればリーダー経験は最重要スキルと言えるでしょう。
上流工程や最新技術がある
例えば以下のような上流工程や最新技術スキルを持っていれば、30代や40代でも活躍できる可能性が非常に高いです。
✅要件定義や顧客折衝
✅システムの基本設計
✅クラウド
✅5G
✅IoT
✅DX(デジタルトランスフォーメーション)
逆に上記のような上流工程や最新技術に触れることができないのであれば、転職も視野に入れていくべきでしょう。
30代・40代未経験で客先常駐ITエンジニア転職後のキャリア
30代・40代未経験で、客先常駐ITエンジニアへ転職をした後のキャリアパスをご紹介しましょう。
客先常駐ITエンジニア→システム開発会社のSE
客先常駐ITエンジニアからのキャリアパスとしては、システム開発会社のシステムエンジニア(SE)へのステップアップがありえます。
客先常駐のままだと、同じ仕事を繰り返す可能性が高くなるため、エンジニアとして経験に広がりが出にくくなりがち。
システム開発会社であれば、自社開発のシステムだけでなくクライアント毎に応じた案件の仕事ができるので、色々な経験が積め客先常駐ITエンジニアから転職をする人も少なくありません。
客先常駐ITエンジニア→WEB系のアプリケーションエンジニア
WEB系のアプリエンジニアであれば、人手不足から30代で未経験であっても採用される企業が少なくないのが現状です。
もちろん、自作のアプリ開発を経験していたりすれば、40代であってもチャンスはあります。
WEB系企業は新しい発想や着想をサービス化する傾向にありますので、流行やトレンドなどに関心があって、WEB開発系の言語の資格などがあればアピールにつながります。
関連:未経験でプログラマーになるには?仕事内容や年収・資格は?
客先常駐ITエンジニア→WEBディレクター
客先常駐ITエンジニアは、客先とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていきます。
客先常駐ITエンジニアとして培った、客先との協業経験を活かしてWEBディレクターへのキャリアアップも十分可能です。
システムやプログラミング言語への理解もあって、人と話すのが苦手でない人であれば、WEBディレクターに転身して活躍することも難しくありません。
客先常駐ITエンジニア→マネジメント経験が積める開発会社
客先常駐ITエンジニアは、プログラミングのスキルだけでは他の人材に取って変わられるスキルしか身につきませんので、30代・40代であればマネジメントスキルをつける事は必須と言えます。
逆にプログラミングスキルとマネジメントスキルの両方を兼ね揃えた人材の市場価値は非常に高く、転職市場という観点でスカウトなど声がかかりやすくなりますので転職がしやすくなります。
他の人材にとって変わられないようなスキルを身につけるために、SESでずっと働き続けるのではなくマネジメント経験の積める開発会社に転職する人は少なくありません。
30代・40代未経験で客先常駐ITエンジニアへの転職はラストチャンス
ぶっちゃけた話、客先常駐ITエンジニアは、ネット上でもネガティブな情報が蔓延していると思います。
しかし、あなたが未経験、しかも30代・40代であれば、迷わず客先常駐ITエンジニアにチャレンジすべきです。
なぜなら、客先常駐ITエンジニアの最大のメリットは、今回ご紹介したように長期的な視点で考えるといくつものキャリアパスを描くことができるからです。
30代や40代の方は10代・20代と違って、残された時間が限られています。
莫大な収入を手にするIT企業の経営者になることも可能ですし、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントで高給取りになることも可能です。
まずは一日でも早く、客先常駐ITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、ITエンジニアの一歩を踏み出していきましょう。
30代・40代未経験で客先常駐ITエンジニア/SES転職Q&A
客先常駐のおっさんSESは負け組?
客先常駐のおっさんSESは負け組と考える人がいますが、SES=負け組と一概に一概に言うことはできず、SESで結果を出し自社開発など上流工程へとキャリアアップできる人は多くいます。
確かに年齢が若ければ若いほど有利になる事は事実としてありますが、変えられない事実に対して不満を唱えても仕方がありません。
年齢を重ねている分、今までの人生経験は若いエンジニアより多い訳ですから、エンジニアに対しての知見や勉強時間を誰よりも多く確保してできるだけ早い段階でのキャリアアップを目指しましょう。
35歳〜40代はsesしかない?
35歳〜40代のITエンジニアとしての転職先は、完全実務未経験であるならば残念ながらSES客先常駐以外はほぼ不可能です。
というのも、ITエンジニア未経験者に向けた中途採用求人割合のうち8~9割が客先常駐のIT求人であるため、そもそも求人の母数的にもSES以外の転職先を選ぶ事は不可能に近いです。
元々エンジニアとしての実務経験がある場合や、友人・知人でIT企業を経営している社長との繋がりでもない限りは35歳〜40代未経験でSESしかないと思っておくと良いでしょう。
客先常駐潰れろ!1週間で辞める人が多い?
客先常駐に対して「潰れろ」と否定的な意見を唱える人もいますが、1週間で辞める人は入社前に客先常駐であることを知らないパターン以外はほぼありません。
やはりITエンジニアになりたいと思って客先常駐SESを転職先として選んでいる訳ですから、ある程度客先常駐である事は覚悟して入社している人がほとんどです。
にも関わらず1週間と経たないうちに辞めてしまう場合は、おそらく客先常駐がどういうものなのか知らずに入社して入社後のミスマッチに乖離があり辞めてしまうパターンでしょう。
ちなみに以下に該当するようなSES企業はホワイト企業なので非常におすすめです。
評価制度がしっかりしている
上流工程やリーダーを経験できる
定年までのキャリアプランがある
常駐先でのフォローが充実している
増え続ける50代seの今後の将来性は?
客先常駐SESはIT人材が不足しているため少しずつ年齢が高齢化している現状があり、30代はもちろん40代で働いている人も少なくありません。
某SES会社のプロジェクトでは、25名(内女性は5名)のうち最高年齢は49歳で2名いて、この2名と私を含め、40代は6名いるという会社もあります。
50代の方は2022年現在はまだあまりいないかもしれませんが、今後は増えていくのではないか?と考えられるでしょう。
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