将来、麻酔科医に転職したいと考えた時、具体的にどうしたら麻酔科医になれるのか考えたことはありませんか?
麻酔科医に転職するにはただ転職活動をすれば良いというものではありません。麻酔科医になるためには諸々の条件をクリアする必要があります。
今回、解説するこの記事を読めば、麻酔科医へ転職するための条件と具体的になる方法を明確に理解することができます。
私自身が麻酔科医に特化したエージェント会社で勤務した経験があるため、どの様にすれば麻酔科医へ転職できるのか、実際の事例も踏まえて紹介をしていきましょう。
ぜひとも転職をする前に参考にしてもらえると幸いです。
麻酔科医になるには?
麻酔科医になるには、主に2つの要件を満たす必要があります。
一つは医師免許、もう一つは麻酔科標榜医です。
医師免許
医師免許資格は医師国家試験に合格して取得できる資格で、医師国家試験は医師法第十一条にて次の通りに受験要件が定められています。
医師法 第十一条
一 大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者
二 医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後一年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経たもの
三 外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの
標榜医
「標榜医」の「標榜」とは、特定の科の診療を行なえると看板を掲げることを指します。
医療法施行規則では、麻酔科を標榜するには厚生労働大臣の許可が必要になります。
要件は次の通りです。
医療法施行規則 第一条の十
2 厚生労働大臣は、前項の申請書の提出があつた場合において、当該医師が次の各号のいずれかの基準を満たしていると認めるときは、法第六条の六第一項の許可を与えるものとする。
一 医師免許を受けた後、麻酔の実施に関して十分な修練(麻酔指導医の実地の指導の下に専ら麻酔の実施に関する医業を行うことをいう。以下同じ。)を行うことのできる病院又は診療所において、二年以上修練をしたこと。
二 医師免許を受けた後、二年以上麻酔の業務に従事し、かつ、麻酔の実施を主に担当する医師として気管への挿管による全身麻酔を三百症例以上実施した経験を有していること。
麻酔科医の仕事内容一覧
業務 | 概要 |
手術前の回診 | 手術を控えている患者に関する説明を行います。 手術内容の説明や同意書の確認、また既往歴や服用している薬(抗凝固薬など)の確認など、麻酔管理をする上で重要な情報をチェックします。 手術中の患者の全身を管理するのは麻酔科医なので、回診の際に問題があれば、手術を延期・中止したりします。 |
術前症例の検討 | 患者の既往歴やバイタルサインの値など、手術にあたり確認すべき項目などがあれば、担当医などに問合せをして確認作業を行います。 また、看護師などにも現状(飲食の状態や頻度、手術直前の投薬や飲食禁止など)を確認します。 ここで確認した内容から麻酔の方法や使用する薬剤などを判断します。 |
麻酔の準備と麻酔管理 | 麻酔医を実施する際には準備が必要になります。 パルスオキシメーターや心電図の準備、患者確認などです。 また麻酔薬を投与した後は、筋弛緩剤を打ち気道に挿管します。 この時点で患者は自発呼吸ができないため、呼吸や心拍などの生命活動は麻酔科医によって管理されます。 術中に生命活動を維持できるよう管理するのが麻酔科医の主な仕事になります。 |
手術後の回診 | 手術が終わった後に患者を覚醒させるのも麻酔科医の仕事です。 全身麻酔は投与を止めて10分程度で覚醒するため、手術後にタイミングをみて投与を止め、覚醒するのを待ちます。 患者が覚醒して自発呼吸ができるのを確認して気道に入れた管を抜き、回復室へ移動します。 そこで血圧などバイタルサインをチェックして問題がなければ、翌日以降の通常の回診に切り替えます。 |
その他 | 麻酔科医は自身が勤務する病院での麻酔科業務以外にも、学会での論文発表や休日に行う麻酔のアルバイトなども行っています。 |
麻酔科医の平均年収は高い?
労働政策研究・研修機構が発表しているデータに依ると、麻酔科医の平均年収は1,335.2万円です。
また、株式会社メディカルリソースは麻酔科医の独自に調査して平均年収を1,584万円としています。
実際に私が麻酔科医に特化したエージェントで勤務してみても、30代麻酔科専門医で年収1,500万円前後が相場といったところでした。
ただ、麻酔科医は自分が所属する病院以外でも麻酔業務のアルバイトを行っている人が多いため、勤務先以外での収入があったりします。
麻酔科医への転職を成功させる方法
麻酔科医として転職するためには、最低でも麻酔科学会の認定医資格、できれば専門医資格(2018年以降は専門医機構の専門医資格)を取得してから転職することをお勧めします。
標榜医だけでも「麻酔科医」を名乗ることは可能ですが、病院に所属する勤務医として考えるとスキル不足と判断されてしまいます。
麻酔科専門医であれば、ある程度の症例を任せられる麻酔科医と認められます。
ただ、他科から転科する場合はいきなり専門医の資格取得は難しいでしょう。
まずは標榜医になり、続いて麻酔科認定医を取得しましょう。
また、実際に麻酔科医として転職をする場合は、エージェントを活用すると効果的です。
中でも麻酔科医に特化したエージェントは良き相談相手になってくれます。
エムスリーキャリア株式会社
医療系エージェント最大手の企業が運営する「アネナビ(https://www.anenavi.jp/)」は実績ある企業が運営している安心のエージェントサービスです。
インターネットを活用した365日24時間対応と豊富な案件数が強みです。
新しく設置された専門医機構の専門医取得等を見据えた案件紹介など、医師の今後のキャリアを考えた紹介や柔軟な対応も可能です。
株式会社エム・ディー・マネジメント
株式会社エム・ディー・マネジメントが運営する「麻酔科医局(https://www.ikyoku.ne.jp/masuika/)」は、麻酔科に特化した専門のエージェントサービスです。
常勤の求人数は大手と比較すると見劣りしますが、フォローの手厚さが強みです。
また、スポットのアルバイトの紹介も手掛けており、スポットでお仕事を紹介して貰い、経験を積むこともできます。
初めて転職をする際に親身になってくれるので、経験を積みたい医師や初めて転職をする際におすすめです。
麻酔科医になった後のキャリアアップの方法は?
麻酔科医としてキャリアをアップをするには、麻酔科専門医の資格が一つの基準とされています。
麻酔と言っても、手術の種類や患者の年齢、状態によって難易度は変わります。
どの様な症例でも一定のレベルで対処できるのが専門医なのです。
一方で資格だけに頼って食べていけるほど甘い世界ではありません。
専門医の資格は持っていても、臨床の現場経験からブランクがある場合などは無理せず、エージェントに正直に話して相談しながらキャリアの話を進めると良いでしょう。
また、一つの病院に縛られず、幅広く経験を積めるという観点から、フリーランスを検討している人もいます。
しかし、専門医の資格を更新するための要件に合致せず資格を失ってしまうリスクや、任せてもらえる手術の種類が限定的なので、伸ばせるスキルの幅が狭まるなどデメリットも多いです。
今後のキャリアアップという観点からみると慎重に判断するのが良いでしょう。
転職エージェントとよく相談してみましょう。