「一度は転職を経験したことがある」という方も増えてくる年齢の29歳ですが、「2回目、3回目の転職は不利になる?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、転職市場の現状と300名を超える20代の転職を支援してきたキャリアアドバイザーとしての経験をもとに、転職回数が増えることで転職活動へ与える影響と、転職回数3回目・2回目で転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
事前の準備や転職活動の進め方次第では3回目・2回目の転職であっても十分に転職活動を成功させることができますので、ぜひ29歳で転職を検討されている方は最後までお読みいただき参考にしてください。
最終編集日.2024年9月27日
目次
29歳の平均転職回数
20代では転職経験のない人が76%と一番多く、29歳の平均転職回数は0~1回で転職が一般的となってきた現代でも20代で転職する人はまだまだ少ないのが現状です
しかし、30代に入ると半数以上の人が転職を経験しており、20代→30代になるタイミングで転職を考える人が最も多いことが分かります。
関連:30代で転職2回目・3回目は厳しい?転職回数何回まで許される?
ちなみに年齢別の平均転職回数を調査すると、以下のようになります。
20代 | 0.97回 |
30代 | 1.95回 |
40代 | 2.55回 |
50代 | 2.57回 |
年齢を重ねるにつれて、必然的に平均転職回数は増えていることが分かりますね。
29歳と30歳は転職難易度が変わる?
29歳と30歳を比較すると「たった1歳差」と思われるかもしれませんが、実は転職市場においてはこの"1歳差"が非常に大きく響いていきます。
理由として、採用企業は転職サイトや転職エージェントに中途採用の求人を募集する際に「必須条件」「尚可条件」という2つの条件を採用基準として定めます。
名前の通り「必須条件」はその条件を満たしていなければ書類選考すら通過することはできず、「尚可条件」は満たしていなくても多めに見てもらえる基準です。
そして「必須条件」の中で"年齢"を定めている採用企業は非常に多く「20代であれば応募可。30代は不可」と定めている企業が非常に多いんですね。
必須条件と尚可条件については、求人票に記載されている場合もありますが基本的には水面下で企業が採用基準を定めているため、転職エージェントにこっそりと「20代限定でお願いします」と伝えている場合があります。
そのため29歳の時であれば書類選考に通過できていた企業も、30歳になった途端全く書類選考に通過できなくなってしまいますので、29歳であれば"今すぐに"転職活動を始めるべきと言えるでしょう。
29歳で転職回数「3回目」は多すぎる?
一般的に転職回数が多くなればなるほど転職活動に不利になると言われています。
以下のグラフは転職サイトdodaが調査した年齢別の転職回数と成功率を表していますが、29歳があてはまる20代後半で3回目の転職の成功確率は2回目に比べてかなり落ち込んでしまい、成功率は30%以下となってしまいます。
(doda公式HPより引用)
しかしあくまでも成功率の話ですので、29歳で3回目の転職希望者の3割が転職に成功していると考えると、事前にしっかりと対策をすれば転職を成功させることも十分可能な転職回数です。
29歳で3回目の転職となると平均よりも転職回数が多く4社目となるため、面接ではほぼ必ず"転職理由"を聞かれることになるでしょう。
転職理由を伝えるポイントは、ネガティブな表現を控え「ポジティブな理由」に変換することです。
上司への不満、人間関係など(転職しても同じ理由で辞めるのではないか?と思われてしまう)
<ポジティブな転職理由表現例>
キャリアアップ、年収を上げたい、経験やスキルを身に付けたい(とにかく前向きな表現に!!)
以下に転職理由の例文を紹介しますので、参考にしてください。
29歳3回目の転職理由例文
これまで百貨店の販売員、コールセンターのSV、不動産の提案営業を経験してきて、様々な職種経験を通じてどのようなお客様にも対応できるコミュニケーション能力を身につけることができました。
これから新しい事業展開を目指す貴社に、様々な職務経験によって身に付いた知識やコミュニケーション能力を活かして貢献していきたいと考え志望しました。
上記例文のように"今までの経験やスキルを次の転職先でどのように活かせるか"という視点で志望動機や転職理由を伝えられるかどうかで転職成功率は本当に大きく変わってくるので、しっかり面接対策はしておくべきです。
29歳3回目の転職でスキルなし転職可能?
29歳3回目で未経験分野の転職については、業界・職種共に未経験の場合はかなり厳しいものになると考えておいた方が良いです。
逆に業界か職種のどちらかに経験があり、業界か職種どちらかだけを転職してキャリアチェンジさせたいのであれば、29歳転職回数3回目でも問題ないと言えます。
たとえば例を挙げると、メーカー営業職の経験があって他の業界の営業職に転職したり(職種経験あり)、Web広告の営業経験があって、Web広告会社のマーケティングに転職する(業界経験あり)などは現実的に可能だということになりますね。
業界未経験かつ職種未経験 | × かなり厳しい |
業界経験はあるが職種未経験 | △ やや厳しい |
業界未経験だが職種経験あり | ○ 転職成功見込みあり |
業界経験者でかつ職種経験者 | ◎ かなり転職成功率高い |
他の具体例としては、今まで不動産営業経験のある方が未経験領域に挑戦するために、不動産テックと呼ばれる不動産×IT分野の企業に転職するというような未経験転職であれば、29歳でもまだチャンスはあると言えるでしょう。
採用企業が書類選考や面接を行う際に、応募者の転職回数について懸念すると回答したアンケートの調査結果によると、以下のような転職回数で採用企業は懸念していることが分かりました。
1回目の転職 | 2% |
2回目の転職 | 11% |
3回目の転職 | 40% |
4回目の転職 | 32% |
5回目以上の転職 | 14% |
転職回数は気にしない | 1% |
転職回数の懸念は3回目の転職が一番気にすると考える企業が多く、4回目・5回目と増えていくにつれて段々気にならなくなってくるという結果が出ています。
ただし、4回目や5回目など転職回数が多くても採用企業が気にしないのは、あくまでも候補者がこれまで培ったスキルや経験を持っていることが前提のため、未経験スキルなしの場合はかなり厳しくなるでしょう。
29歳で転職回数「2回目」は多すぎる?
それでは転職回数が「2回目」の場合はどう違うのか見ていきましょう。
前述のdoda調べのグラフを再度参照すると、29歳があてはまる20代後半で2回目の転職の成功確率は60%と半数以上の人が転職を成功させていることが分かります。
(doda公式HPより引用)
企業によっても転職回数に対する感じ方は異なるものの、29歳で2回目の転職はそれほど気にする必要はないことが分かりますね。
つまり29歳で転職回数が今まで1回、これから2回目の転職(次が3社目)の場合は全く気にする必要はないということです。
しかし、3回目の転職同様、転職理由は採用する企業にとっても気になるところであり、ネガティブな表現を控えてポジティブな理由で伝えることが重要です。
2回目の転職理由の例文をご紹介しますので、参考にしてください。
29歳2回目の転職理由例文
新卒で入社したXX社で婦人服の販売員として接客の経験を積んだ後、より多くの人にファッションを提案したく、アパレル商品のECサイト運営を行うYY社に転職しました。
YY社で2年間EC運営を行う中でサイト運営だけではなく、企画から携わりたいという思いが強くなり転職を決意しました。
人間関係や長時間労働、パワハラなどネガティブな転職理由は"本音"として心の中にしまっておき、面接の場では「キャリアプランを叶えるために転職したい」ととにかく前向きに転職理由を伝えられるかどうかが鍵です。
29歳2回目の転職でスキルなし転職可能?
29歳で転職回数"2回目"の場合の未経験転職については概ね可能です。
ただし業界や職種によっては未経験の場合厳しい分野もあるので、どのような未経験分野に転職したいかによって転職難易度は変わる点は注意が必要です。
29歳2回目でも未経験分野への転職が比較的簡単な業界としては、
人材業界
不動産業界
Web・IT業界
サービス業界
エネルギー業界
…etc
上記が例として挙げられ、職種に関してはまずは営業職から入社するのが一番未経験分野への転職の可能性として現実的でしょう。
29歳で3回目の転職に企業が抱く印象は厳しい?
20代で転職を繰り返している求職者に対して、採用側の企業が抱く印象を解説します。
すぐに辞めてしまうのではないか<
企業にとって、採用した従業員が定着してくれるかどうかは重要な課題です。
転職回数が多いと、「また今回もすぐに辞めてしまうのでは?」と心配されがちです。
特に過去の在籍期間が短い場合、この印象は強まります。
こういった不安を払拭するには、過去の転職に関してある程度反省の色をしますことや、自分のキャリアビジョンを明確に伝え、長期的な視点で仕事に取り組む姿勢をアピールすることが大切です。
忍耐力がないのではないか
転職を繰り返すと、「忍耐力がないのでは?」と見られることもあります。
特に、困難な状況に直面したときに耐えられず、すぐに離職してしまうのではないかという懸念を抱かれやすくなります。
これを回避するには、過去の経験から学んだことや、転職を決意した具体的な理由を説明し、長期的に就業していくことへの覚悟感や、自身の成長意欲や問題解決能力をしっかりとアピールしましょう。
スキルや知識が身についてないのではないか
短期間で転職を繰り返していると、専門性や知識の習熟が不十分ではないかと見られることがあります。
ある程度の期間、勤務を続けていないと責任のある仕事を任されていなかったり、成功や失敗を繰り替える中で、業務を通じて学ぶ機会も少なかったのでは?という印象を抱かれてしまいます。
これを払拭するには、これまでの経験で習得したスキルとその活用方法を具体的に伝えることが重要です。
今後転職を繰り返さないために意識すること
30代を迎えるにあたって必要以上に転職を繰り返さない為に、押さえておきたいポイントを解説します。
キャリアプランや判断軸を明確に
自分が本当にやりたい仕事、働きたい環境を明確にすることが転職を繰り返さないための鍵になります。
単に給与や企業名といった表面的な条件だけでなく、自分の価値観や長期的なキャリアゴールと合致しているかを考えてみましょう。
5年後、10年後の理想の姿を思い描き、そこに向かうために必要な経験やスキルは何かを考えてみると良いでしょう。
短期的な利益に惑わされず、長期的な視点で職場を選ぶことが、持続可能で安定したキャリア構築につながります。
企業研究をした上で入社する
企業の表面的な情報だけでなく、その会社の本質を理解することも重要です。
経営理念、中長期的な事業計画、社風、実際の労働環境、社員の平均年齢や離職率、業界内での評判などを多角的に調査しましょう。
企業のウェブサイトだけでなく、口コミサイトや業界誌なども活用し、可能であれば現職社員からの情報も得るたえうえで、自分の価値観や目指すキャリアと照らし合わせ、本当に自分に合った環境かどうかを慎重に判断することで、入社後のミスマッチを予防することができるでしょう。
入社前に覚悟しておくことをエージェントから聞いておく
転職エージェントは単なる求人情報の提供者ではなく、転職のパートナーとして活用すべき存在です。
業界や企業の最新動向、内部事情、職場の実態について詳しい情報を得ることができます。
入社前に企業の現状や将来展望、具体的な業務内容を詳しく確認し、不安や疑問点を解消し、入社後我慢しないといけないことも理解した上で入社意思決定しましょう。
29歳は転職は成功確率が高い「最後の」年齢
ここまでの話で「29歳ではあまり転職しない方がいいのかな?」と思ってしまった方もいるかもしれませんが、実は29歳は転職市場で最も需要の高い転職するには絶好のタイミングです。
現在の日本は少子高齢化と好景気が合わさった背景により企業が最も必要としている若い人材が枯渇しているため、企業は常に20代の人材を常に求めている状況です。
また、30代に入ると職種経験やマネジメント経験を問われることが増えてきますが、20代では未経験を歓迎している企業も多いのが現状です。
そのため、もし未経験の業界や職種に転職したいと考えている場合は、29歳の今が最後のチャンスと言っても過言ではありません。
30歳になってしまうと転職のハードルは一気に高くなりますので、転職すべきか迷っている方は1日でも早く転職活動を開始すべきでしょう。
29歳の転職を成功させるためには、今までの経験を上手に活かしつつ未経験分野に挑戦する必要がありますので、転職エージェントを活用して転職理由やキャリアビジョンを言語化する手伝いをしてもらいましょう。
29歳で転職したい場合、転職回数と同じくらい重要なのが"勤続年数"で、直近の会社の勤続年数が短いほど採用企業はあなたに懸念を抱く可能性があります。
そのためもし勤続年数短く次の会社に転職したい場合は「なぜ勤続年数が短くなったのか?」を事前に整理して言語化し、面接に備える必要があります。
例えば具体例を挙げると、
親の介護でUターンしなくてはならない
現職の会社で部署が閉鎖になった
上記のように ”転職せざるを得ない理由”があれば、採用企業の人事面接担当者が納得してくれる可能性は高くなるでしょう。
勤続年数が短くて転職したいけども転職理由で何と言うべきか分からないという方はこの後に紹介する20代後半に強い転職エージェントを活用することで、担当のキャリアアドバイザーが一緒に転職理由を考えてくれるのでおすすめです。
29歳で3回目・2回目の転職を成功させる方法
ここまでの話で29歳で転職を成功させることは十分に可能なことだとお分かりいただけたかと思いますが、2回目・3回目と転職回数が多い場合は転職難易度が高いことも事実です。
29歳で2回目・3回目の転職を成功させる方法やコツについて解説して参ります。
- ポジティブな転職理由や自己PRを行う
- 未経験でも採用されやすい業界や職種を狙う
- 29歳に強い転職エージェントを活用する
順番に見ていきましょう。
ポジティブな転職理由や自己PRを行う
転職回数の多さをカバーするために、前述したようなポジティブな転職理由や自己アピールを考えて、かなり工夫することができなければ転職は難しいでしょう。
ポジティブな転職理由の具体的なイメージとしては"一貫性のある転職理由"が一番説得力があります。
例えばですが、
「私は将来起業しようと考えていて、独立するために必要なスキルを網羅的に経験するために転職を繰り返しています」
というように極端な例ですが、目標を叶える手段として転職を考えているのであれば、企業の人事担当者も良い評価をする傾向があります。
未経験でも採用されやすい業界や職種を狙う
また、転職したいがために焦ってしまうとブラック企業に入社してしまう可能性もありますので、企業選びも慎重に行う必要があります。
特に今後のキャリアを考えるとこれ以上転職を繰り返すとかなり厳しくなってくるため、今回が最後の転職にするんだという気概を持って入念に企業情報を収集してリサーチすると良いでしょう。
ネット上の企業口コミサイトはもちろん、知人や友人を当たってできるだけ企業の内部情報に詳しい人から生の声を集められるとベストですね。
29歳に強い転職エージェントを活用する
転職活動を成功させるための3つ目の方法は転職エージェントを利用することです。
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数ある転職エージェントの中でもdodaとマイナビエージェントは20代後半の転職にめっぽう強いです。
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29歳2回目・3回目の転職に関するQ&A
29歳2回目の転職で大手企業への入社は可能?
29歳2回目の転職で大手企業への入社を成功させるためには、①今までの経験やスキルを活かす軸で転職先を探す ②大手企業の求人が出やすい時期を狙って転職活動を行う の2つが必要です。
今までの経験やスキルを活かす軸で転職先を探すについては、自分自身で求人サイトで検索をしつつdodaやマイナビなどの転職エージェントで非公開求人も紹介してもらうようにしましょう。
後者の大手企業の求人が出やすい時期を狙うについては、大手企業が採用を行う業績拡大による増員が行われる時期である、1〜3月(4月入社目標)、6月〜9月(10月入社目標)あたりを狙って転職活動を初めていきましょう。
29歳で4回目・5回目スキルなしでも転職は可能?
29歳で4回目・5回目の転職の場合は、何らかの専門性のあるスキルを持っていなければかなり厳しいのが現実です。
専門性のあるスキルを具体的に挙げると、営業スキル・ITエンジニア・施工管理・クリエイティブ・経理などの職種であれば、経験スキルを活かす転職軸で転職活動を行えば成功できる確率はあります。
しかし、29歳4回目・5回目の転職で全くの未経験業界や職種の転職先については、元々の知り合いや友人の会社など余程の引き合いがない限りはかなり厳しいものになることを心得ておくべきでしょう。
29歳の転職で未経験の女はどうすべき?
29歳未経験のアラサー女性の転職については、完全スキルなしで未経験領域の転職は難しくなりますので、経験スキルを棚卸しして活かす方向性で転職先を探していくのがベストな方法です。
例えばアルバイト経験しかなかったとしても、接客サービス業などの経験があるのであれば接客サービス系で正社員になれる求人を探していくというようなイメージですね。
29歳の女性は結婚や出産などライフイベントを控えている年齢でもありますので、育休や産休を取得できる職場をdodaやマイナビエージェントなどの転職エージェントを活用して紹介してもらうようにしましょう。
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