労働者の権利である有給休暇ですが、皆さんはどのくらい取得できているでしょうか?
今回は、有給が取れない会社を辞めるor辞めない?転職すべきかどうかの判断基準について解説していきます。
以下のような理由から、有給が取れずに会社を辞めようかどうか迷っている人は実はとても多いのです。
・有給が取れず身体の疲れが全く取れない
・冠婚葬祭でさえ休めず会社に対して不信感が募っている
・周りの目を考えると有給を申請できず長年悩んでいる
有給休暇を取得できずに今の会社を辞めて転職すべきかどうか迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
【最終更新日.2021年12月9日】
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有給休暇を取れない4つの理由まとめ
なぜ今の会社で有給を取れない状況なのか、理由を4つに分けて分解して見て参りましょう。
有給休暇を取りにくい雰囲気がある
残業を美学とする日本では有給休暇を取得しない人が多いため、取得することに対して罪悪感を感じている人がとても多いです。
厚生労働省の調査によると約64%の人が有給休暇を取得することにためらいを感じており、自分が休んだ分、同僚や上司に負荷が掛かることを心配して有給を取得できない風潮が蔓延しています。
過重労働である
普段からたくさんの仕事を抱えて過重労働に陥っている人は「休んだ分だけ後で自分が苦しくなる」という理由で有給を取得できずにいます。
実際に厚生労働省が調査した結果では、労働時間が長い労働者ほど、有給休暇取得率が低いという結果が出ています。
有給休暇を取得できない理由とは一見関係ないことのようですが、そもそも過重労働になっていることが有給休暇を取得できない大きな原因となっています。
昇給、査定に影響するから
前述の通り、労働基準法第39条で有給休暇取得によって昇給・査定に影響を及ぼすことは認められていません。
しかし上記の厚生労働省の調査によると、有給休暇を取得できない理由として「昇給や査定に影響する」と答えている労働者が8.7%になりました。
約10人に1人はこの理由で取得できないと答えている現状を考えると、実態としては残念ながらこういった悪質な会社が数多く存在することが覗えます。
権利を理解していない
そもそも、労働者側が有給休暇の付与日数や権利を理解していないケースです。
自分がいつからどのくらい有給を取得できるか正確に把握しているのか権利を理解できていないために、スムーズに取得できていないケースが実はとても多いのです
有給休暇は労働者に平等に与えられている権利ですので、きちんと有給取得の仕組みを理解した上で上手に使っていきましょう。
有給が取れない会社は辞めるべきor転職?
では結論として、有給が取れない会社は辞めるべきかそれとも転職すべきか、それぞれの状況に分けて解説して参ります。
会社を辞めない方がいいケース
一度は拒否されたが代わりの日を設定してくれた
有給休暇を申請した日を拒否された後、代わりの日を提案してくれた場合は辞めるべきではないでしょう。
会社側の権利として、労働者が有給休暇を申請した時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季に振り返ることができる『時季変更権』が法律で認められています。
この場合は時季変更権を行使したものと考えることができます。
ただし、あなたが会社から拒否された理由に納得できない場合は、納得できるまで話し合う必要があるでしょう。
あなたが納得できた上で、他の時季に有給休暇を取得できるのであれば、辞める必要はありません。
多少は取得できている
100%ではないにしろ毎年多少は有給休暇を取得できている場合、すぐに辞める判断をするのは危険です。
有給休暇は労働基準法で労働者に認められた権利ではありますが、厚生労働省の調査によると日本の有給休暇消化率の平均は49.4%となっています。
本来取得できる日数の半分程度を取得できていれば、日本企業の中では平均的ということなので、これを理解せずに「毎年半分程度しか取れないから」と転職してしまうと、さらに取得しにく会社に転職することになってしまう可能性もあります。
有給休暇取得以外に大きな不満がないのであればすぐに辞める必要はありません。
有給の買取りを行っている
有給休暇は、労働者の「身体を休ませる」ための権利なので、基本的に買取りは認められません。
ただし、2年以内に消化できなかった分や退職前で消化できなかった分、法定日数を超える有給がある場合には、会社側の買取りが認められています。
有給休暇の買取りが就業規則等で定められていない限り、会社に買取り義務があるということは困難ですが、買取りが定められている場合は、休暇という形ではないものの金銭として対価を得ることが可能です。
仕有給休暇を100%消化し切れない場合も、十分に活用できる制度が整備されている会社と言えますので、辞める必要はないでしょう。
辞めて転職した方がいいケース
実際昇給、査定に影響を及ぼした
有給休暇を取得したことで減給・降格させられた場合、労働基準法に違反していますので辞めるべきでしょう。
休暇を取得できても、その後の減給や降格で不当な扱いを受けてしまっては、会社に居続けるメリットがありません。
このような場合、後から会社の言動を争えるように、メールや書面、ICレコーダーなどに録音するなど、証拠を残しておくようにしましょう。
通常の会社であれば有給休暇取得によって昇給・査定に影響を与えることは絶対にありませんので、きちんと法律を遵守している会社を探すべきです。
冠婚葬祭による有給取得も認められない
会社によっては、家族や親族に不幸があった場合や、数ヶ月前から分かっている結婚式に参加する場合に申請した有給休暇すら拒否される場合があります。
こういった場面に出くわした場合、その会社はおかしいと思った方がいいです。
このような経営方針の会社は、有給休暇取得以外にも法律に違反している可能性がありますので、迷わず辞めて問題ありません。
いつまで経っても「今は無理」と濁される
会社側の権利として、労働者の休暇取得によって業務に著しい影響が出る場合、『時季変更権』の行使が労働基準法第39条で定められています。
有給休暇を申請して「今は無理」と言われた場合、まずは時季変更権の行使であるかどうかを確認しましょう。
会社側は時季変更権を使っても労働者の希望を尊重しながら、他の時季に有給休暇を取得させる義務がありますので、いつまで経っても「今は無理」と言われ続ける場合、法律に違反しています。
法律で定められた休暇取得を認めない会社は辞めるべきでしょう。
有給休暇の法律上の規定と具体的日数
年次有給休暇とは労働基準法第39条で定められた、会社が従業員に必ず与えなければならない休暇で、労働者の休暇日のうち、雇用者から賃金が支払われる休暇が有給休暇になります。
「年次」とある通り、1年ごとに毎年一定の日数が与えられ、有給休暇、年次休暇、年休、有休などといわれることが多いです。
有給休暇は、業種・業態にかかわらず、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して与えなければならない休暇です。
【『労働基準法第39条』より抜粋】
1.使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
2.使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
以下の表は、週所定労働日数が5日以上かつ週所定労働時間が30時間以上のフルタイム勤務の正社員として働いた場合の継続勤務年数に応じた有給休暇の付与日数を表しています。
継続勤務年 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年〜 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
※週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の場合、計算方法が異なります。
有給休暇の取得拒否は基本的にできない
労働者が有給休暇を取得したいと申請した場合、基本的には会社側は申し出を拒否することはできません。
なぜなら有給休暇を取得する権利は労働基準法で定められており、経営者は許可・不許可という判断をする権利を有していないからです。
また、有給休暇の取得によって賃金を下げたり評価を下げたりするなど、不当な措置を取ることも禁止されています。
ただし、休暇取得によって業務に著しい影響が出る場合、会社側は『時季変更権』を行使することができます。
【『労働基準法第39条』より抜粋】
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
時季変更権が認められるのは、以下のように業務に著しい支障をきたす場合のみです。
・休暇を申請した労働者にしかできない業務があり、期日が迫っている
・繁忙期や決算期などで今の時期に休暇を取られると業務に多大な支障が出る
…etc
上記のような事情がある場合は、労働者の希望を尊重しながら、他の時季に有給休暇を有給休暇の取得時期を変更できる権利があります。
有給休暇を取れない会社は辞めるべきか
今回解説した通り、有給休暇を取れない会社は辞めるべきかについては”理由次第”と言えますが改めてまとめておくと、
一度は拒否されたが代わりの日を設定してくれた
多少は取得できている
有給の買取りを行っている
実際昇給、査定に影響を及ぼした
冠婚葬祭による有給取得も認められない
いつまで経っても「今は無理」と濁される
上記に分けられると言えるでしょう。
現在勤めている会社で有給が取れない理由は何なのかもう一度周囲にリサーチを行い、本当に辞めるべきか残るべきかの判断を下す参考として頂ければ幸いです。
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