

病院栄養士といえば、食や医療の知識を身につけて働くことができ栄養士の仕事では「花形」と言われていますよね。
病院栄養士の求人はとても人気ですが、仕事は「大変」「きつい」とも言われることもあるため、実際どうなのか気になっている方は多いのではないでしょうか。
私は元々、委託会社の栄養士として働いていましたが、病院栄養士の転職に成功し8年間働いています。
委託会社での栄養士業務は、資格を活かした仕事ができず「このままでいいのだろうか」と悩みを抱えていましたが、今では病院栄養士になれて良かったと感じています。
今回は病院栄養士になろうかと迷っている方に向けて、病院栄養士の仕事内容ややりがい、給料事情について詳しく解説していきます。
2023年5月5日最終更新
病院栄養士が大変な理由
病院栄養士と聞くと「大変」「きつい」と言われることがありますが、どういうところが大変なのか具体的に説明していきます。
①職場の人間関係がストレス
病院に勤務する管理栄養士の場合、院内の他職種の方と協力して仕事を進めていくため、人間関係にストレスを抱える場合があります。
患者様の食事を決める際は、病気の状態を把握する必要があるため、医師、看護師、言語聴覚士など異なる職種の方々から意見を聞いた上で決めていきます。
他の職種の方から意見を聞く場合、キツイ言葉をかけられることも場合によってはあるかもしれません。
特に急性期の病院や総合病院では、命に関わる状態の方もいるため、病棟は忙しくピリピリしていることがあります。
ただ、病院栄養士として仕事をこなしていくと、様々な職種と仕事をしていくことにより対応力が身につくでしょう。
②管理栄養士が職場に一人で仕事量が多い
働く職場によっては、一人体制により管理栄養士が一人で「入院患者の栄養管理」「栄養指導」「食材発注」「献立作成」「調理業務」を任されるケースがあります。
多くの仕事を一人でこなさなければならず負担に感じる場合もあるでしょう。
仕事量があまりに多いと、月に何十時間も残業しなければならないということあるかもしれません。
また、調理場が人手不足になると栄養士が現場の仕事を補わなければならず、栄養士業務の時間が取れないといった負担も発生してきます。
しかし、多岐に渡る仕事をこなせるようになると、栄養士としての経験値が高くなり、転職する際も有利になるでしょう。
③大量調理が大変
給食の委託会社が入っていない病院では、調理作業も行わなければなりません。
病院食は一般的な家庭料理とは違い、食数が多く大量調理になります。
それに加え、患者様の病態に合わせた多くの食種が存在します。
そのため、正確で素早い対応が必要になるため、調理が得意ではない場合は大変だと感じることが多いかもしれません。
しかし、大量調理の経験があると、栄養士としての実務経験を積むことができます。
④専門知識の勉強が大変
病院で働く場合、患者様の状態を把握するため、病気に関する知識や輸液の種類、検査値の見方、嚥下の状態など多くの専門的スキルが必要になります。
病院の種類にもよりますが、その病院に合わせた知識の勉強が必要になります。
例えば、透析を専門にしている泌尿器科の病院であれば、その病態に合わせた食事を提供しなければならないため、日々勉強することが必須です。
そのため、介護施設や保育施設などと比べると、専門的な知識を身につける必要があり、勉強が負担になる人もいるでしょう。
ただ、医療の知識が身につくと臨床開発関連の企業や製薬会社へ転職できるメリットがあり、働き方の選択肢が広がるといった利点があります。
⑤栄養指導が大変
栄養士は、患者様やそのご家族に栄養指導をすることがありますが、説明の仕方や相手に合わせた指導に配慮しなければなりません。
栄養指導する相手の病気の状態やライフスタイルをしっかり伺った上で、その人に合わせた指導をしないと全く意味がないものになってしまう可能があるからです。
改善に導いていくためには、何が必要かを会話の中から探し、提案しなければならず慣れないうちは大変だと感じることもあるでしょう。
また、患者様によっては栄養指導されること自体に拒否反応を持っている方もいます。
改善に向けて行動してもらうよう話し方のスキルを要するため、コミュニケーション能力を高めていくことが求められます。
病院栄養士の離職率
では、病院栄養士の離職率は高いのでしょうか。
実際には栄養士の離職率を表す明確なデータは存在していません。栄養士が就職する業種でみていきましょう。
主に栄養士は「飲食サービス業」、「学習支援業」、「医療・福祉」に分けられ、離職率は以下の数値になっています。
- 飲食サービス業27%
- 学習支援業16%
- 医療・福祉14%
病院栄養士は医療・福祉に分けられるため、14%ということになります。
厚生労働省が令和3年に発表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」では、日本の平均離職率は14.2%でした。
飲食サービス業は27%と高い数値ですが、医療・福祉は平均的といえるでしょう。
病院栄養士の仕事内容&やりがい
では、続いて病院栄養の仕事内容についてご紹介していきます。
病院栄養士の仕事内容は大きく分けて「臨床栄養業務」と「給食管理業務」の2つがあります。
臨床栄養業務
- 入院患者の臨床栄養管理
- 栄養管理計画書と入院診療計画書の作成、確認
- 入院・外来栄養指導
- 集団教室
- 入院患者の食事内容確認
- NST(Nutrition Support Team, 栄養サポートチーム)
- 回診・カンファレンス参加
臨床栄養業務は簡単に説明すると、患者様の病状をよく把握し、その病状に合わせた食事を提供することです。
臨床栄養業務は病棟に出向き、患者様の病状を医師や看護師から確認し、カルテを確認した上で調査していきます。
医師の治療方針を確認しながら栄養状態を評価し、その方に合った食事を提供します。
栄養指導は、患者様の栄養状態をみながら食事のアドバイスを行う業務です。
また、病院によって※NSTを行っているところでは、栄養士が中心になり患者様のデータをまとめていきます。
専門職間のやりとりなどの調整役も行うため、他職種との関りが増えていき、高いコミュニケーション能力が身につくでしょう。
NSTを行っている病院ですと、医師や看護師などから食の専門家として頼りにされる存在となりやりがいを感じることも多くあります。
※NST(Nutrition Support Team, 栄養サポートチーム)とは患者様に、最良のな栄養管理を提供するために、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、言語聴覚士(ST)理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、医療事務、管理栄養士などの他職種で種構成された医療チームのこと。
給食管理業務
- 調理作業
- 献立作成
- 発注、検収、検品、棚卸し
- 食数管理、食札管理
給食管理業務とは、簡単に説明すると考えた献立を調理し、食事を提供することです。
献立は多くの病院が※サイクルメニューを導入しているため、クリスマスやお正月などといった行事食を少し変えるという調整のみで負担は多くありません。
患者様の病態や嚥下状態に合わせた食事を提供していくため、食事の種類が多くなることがあります。
中核病院などの場合、多くの病態の方がいるため、食事の種類も多くなるのが特徴です。
給食管理業務は栄養士にとって基本的なスキルになるため、給食管理の経験があると転職を考えた場合、介護施設や保育施設など多くの職場で働け、仕事の幅が広がります。
また、満足度の高い食事を提供できた場合、患者様から感謝されることも多く、やりがいを感じることもできるでしょう。
※サイクルメニューとはあらかじめ一定期間のメニューを決めておき、そのメニューを季節に分けるなどして繰り返し提供する形式のこと。
病院栄養士の年収や給料事情
リクナビNEXTのデータによると、管理栄養士の資格を保持している人の平均年収は288.1万円と言われています。
勤務先にもよりますが、特に保育園などの栄養士は、給料が低い傾向にあります。
しかし、病院栄養士の場合、栄養士全体の平均年収より高くなる傾向があります。
正社員の病院栄養士の場合は約300万円台です。
ただし、この年収は病院の規模であったり、地域差により多少違いがあるので一概にはいえません。
また、資格を取得したり、経験年数が長くなると役職がつき給料が上がることも十分ありえます。
「糖尿病療養指導士」「NST専門療法士」などの資格を取得すると、大幅に給料が上がることがあるでしょう。
病院栄養士の転職志望動機例文3選
では、病院栄養士として働く場合、どのような志望動機を作成すればいいのでしょうか。
実際に病院栄養士として採用された志望動機の例文をポイントとともにご紹介いたします。
委託会社の栄養士の例
これまで委託会社で3年間勤務してきまして、1日平均100食の食事を提供して参りました。
主な業務内容は、調理業務、献立作成、献立展開、衛生管理です。患者様の治療食を担当することはとてもやりがいを感じておりますが、医療の知識を身につけながらもっと患者様に寄り添い治療に貢献できる仕事がしたいと思い病院栄養士を志望しています。
貴院は栄養サポートチームのNSTを導入し、より良い看護ができるよう個別に応じた栄養管理を行っていると伺いました。最良の栄養療法を提供している貴院で医療の知識を身につけ、患者様の治療のサポートをしていきたいと切望しております。
ポイント➡患者様の治療に貢献したいと伝える
病院栄養士の仕事は、患者様の病気の治療に合わせた食事を提供することです。
患者様が抱える病気が改善していくよう食を通じて貢献していきたいという思いが感じられるような伝え方をしていきましょう。
介護施設の栄養士の例
ポイント➡高い向上心がありスキルアップしていきたい気持ちを伝える
病院栄養士として働く場合、医療の進歩に合わせて学び続けることが必須となっていきます。
高い向上心がありスキルアップできる人材を必要としているため、成長する意欲があることをアピールしましょう。
食品会社の栄養士の例
ポイント➡コミュニケーション能力の高さをアピールしよう
病院は様々な専門職と仕事を行い、患者様に接していきます。
人と関わることが多いため、コミュニケーション能力が必要になってきます。
人との柔軟な対応能力があることをしっかりと伝えましょう。
病院栄養士は高いスキルを身につけられる
病院栄養士は他の栄養士の職種と比べると、専門知識の勉強が多く、関わる人も多い傾向にあり大変さを感じることはあるかもしれません。
しかしその反面、栄養士として学んだ知識や技術を十分に活かすことができ、食の専門家として働くことが可能です。
医師や看護師などの専門職との関りもあり相談される機会も多く、仕事の楽しさを感じられるでしょう。
また、患者様の側で病気のサポートをしていくことができ、とても貢献度の高い仕事といえます。
患者様から「食事美味しかったよ」「ありがとう」などと感謝の言葉をかけられることも多く、やりがいのある仕事です。
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