半導体はスゴイ半導体が無ければスマホもパソコンも作れません。半導体が世の中を支えていると言っても過言ではないでしょう。
筆者も半導体メーカーに勤務していたことがありますが、半導体業界の環境で働くことは、大きなステータスと確信しておりました。
迷い=希望しかし、マイナス要素も多々あります。長時間労働、休日出勤、深夜労働が常態化されている割には、賞与が支給されない事もあります。
仕事量と収入が見合わないと感じる事が多々あることは、半導体業界で働いている方々なら、周知の事かと思います。
筆者も日々、悩んでおりましたが、思い切って転職を決意しました。現在は半導体業界で身につけたスキルを活かしながら充実して働けています。
半導体業界で働いていれば、多くのスキルが身についていることは言うまでもありませんので、そのスキルを活かせる転職先の職場おすすめをご紹介致します。
【2022年9月20日最終更新日】
目次
半導体業界を辞めたい/転職したい理由
ではまず、半導体業界を辞めたい/転職したいと考える理由について5つに分けて見ていきましょう。
長時間労働、深夜労働が常態化されている
半導体工場が24時間365日稼働している為、急ぎの製品でトラブルが発生すると、深夜でも対応しなければならず、大きな負担となります。
深夜に電話がかかってくる事もありますが、これは進捗管理の担当者も同じ事で、トラブルが発生すれば、進捗プランを変更しなければなりません。
装置管理の担当者は、深夜に急遽、生産装置の修理をすることも珍しくなく、このような労働環境は、非常に大きな負担であり、健康を害する可能性も感じざるを得ないでしょう。
給与や賞与が不安定
半導体の価格は非常に変動が激しく、安定した収益を得るのは困難ですし、為替レートの影響も大きく受けるため、為替レートは売上に影響するばかりでなく、原材料の調達にも影響を及ぼします。
その為、賞与が支給されないことも珍しくありませんし、人員削減により業務量が増えることもしばしばありますし、各種手当が削減されることもあります。
このような環境下、従業員は倒産の危機を感じる事が、数年サイクルで訪れていると言わざるを得ません。
力仕事に耐えられない
生産装置のメンテナンスは力仕事を伴うものが多く非常に大きな負担で、どのような生産装置でもそうですが、材料の供給は人手で行う場合がほとんどです。
中には10キロくらいあるものを一人で装置に取り付けなければならない事もあります。例をあげるとスパッタリング工程で使用するチタンターゲットなどは、10キロから13キロくらいあるものが多いです。
力仕事に耐えきれずに、他部署への移動を希望する者が出ることもありました
危険な作業がある
半導体の生産装置の中には、温度が1000度くらいまで上がるものもありますし、1000ボルトくらいの電圧を使用しているものもあり、鋭利なパーツを交換するような作業もあります。
極稀にけが人が発生することがあることは、半導体メーカーで働いている方ならご存じかと思います。
酸系の薬液が皮膚に付着してしまい、火傷を負ってしまう事例も発生していますので、危険な作業が嫌で辞めたいと考える人も多いでしょう。
縦割り組織
半導体の工程は多いものだと200工程を超えます。
各工程ごとに担当の部署が決まっており、各部署は自分の担当工程の事ばかり考えていて、全体的に考える部署がないので、各部署の人間関係が業務に影響を及ぼすことが多々あります。
製造部門はできるだけ多く生産したい、エンジニアは規格に沿った製品を作りたい、進捗管理の担当者は納期の事ばかり考えている、各担当者の力関係で決まってしまうところが大きかったと思います。
半導体業界で働くことで身につくスキル
半導体メーカーでの業務は多岐に渡り、身につくスキルも多種多様となります。私は製造現場や製造現場に近い部署など働く部署ごとに次のようなスキルが身についているでしょう。
ちなみに半導体工場に限らず、自動車メーカーでも電気製品のメーカースキルは十分でも、生産装置には共通点があります。
進捗管理も、どのメーカーでも必須のものでしょうし、工場の運転監視も、工場の安全稼働を実現するうえで、必ず必要なものです。
生産装置関連
生産装置は定期的にメンテナンスや点検が実施されますので、特性を理解した上で作業にあたらないと危険を伴います。
またトラブル対応についても、十分に理解した上で行わないと、不良品を発生させることになりかねません。
進捗管理関連
一つの工場で何種類もの製品を生産しますので、進捗管理は重要となります。
各工程の処理時間、キャパシティー、各工程間の搬送時間、その他様々な要素を考慮して、進捗プランを立案しなければなりません。
生産の現場ではその立案に沿った生産活動を行いますので、トラブルが発生するとその後進捗が大きく狂って、進捗プランを変更しなければならなくなります。
工場の運転監視
工場が安全に稼働している事を監視する業務です。
例えば、危険な薬液やガスを多く使用していますので、それらが安全に供給されているかを監視して、もし薬液漏れが発生したりすると、運転監視室でアラームが発生し、対応に追われることになります。
半導体業界からの転職おすすめ4選厳選
ではここからは、いよいよ本題の半導体業界からの転職おすすめ4選について厳選して紹介致します。
化学工場 | |
食品メーカー | |
エネルギー関連施設 | |
オリジナル製品生産半導体メーカー |
※⭐️の数が多いほど半導体業界との親和性は高い
それぞれおすすめの理由と共に解説していきます。
転職先おすすめ①:化学工場(バッテリー/製薬/自動車部品)
バッテリー業界
バッテリー業界の大手であるパナソニックエナジーではバッテリーを生産しており、電気自動車向けのものを多く生産しているそうです。
中途採用の求人広告を見ると、様々な経験やスキルを要求していますが、その中の一つに『生産技術の業務経験』が求められています。
生産技術というのは、半導体業界でいうと生産装置のメンテナンスやトラブル対応など、生産装置を維持管理する業務の事で、異なるタイプの生産装置でも、経験があればバッテリー製造に役立つということです。
製薬業界
同様のスキルが要求されている求人は製薬業界にも見受けられます。
沢井製薬の医薬品工場の求人広告でも、『生産設備の保守・管理業務』を応募の条件に挙げています。
三菱ケミカルの化学プラントでも、『製造業における機械保全、生産技術等の業務経験』を要求しています。
自動車部品業界
自動車部品業界のパナソニックエナジーでは、電気自動車向けのバッテリーを生産しており、Co2削減が叫ばれている昨今、電気自動車は将来有望なものです。
また沢井製薬は言わずと知れた製薬メーカーであり、薬剤の需要は安定していますし、三菱ケミカルについては、液晶ディスプレイや自動車部品を生産しており、こちらも将来有望です。
転職先おすすめ➁:食品メーカー(コンビニ弁当など)
コンビニのお弁当やおにぎりを受託生産している食品メーカーの武蔵野フーズの求人広告では『生産ラインの管理業務』の経験を求めています。
半導体業界の進捗管理と同様のもので、数多くの工程があって、それぞれのお弁当やおにぎりに納期が決まっていて、納期を守って出荷できるように管理していく、この点では半導体工場と酷似しています。
飛行機の機内食を生産している日本エアポートデリカの求人広告でも『製造ラインの進捗管理』『材料の在庫管理』などの経験を要求しています。
ハナマルキの味噌工場でも、同様の求人広告が見受けられますし、ミツカンのお酢工場でも、『生産管理業務の経験』を求める求人広告を出しています。
半導体製造では工程間時間制限が設けられている工程があります。前の工程が終わってから、次の工程に着工するまでの時間を制限するもので、品質管理上、不可欠のものです。
食品工場でも半導体工場と同じくらい各工程の処理時間をシビアに管理しなければならないという点で、共通点がありますので、進捗管理、生産管理の腕の見せ所と言えるでしょう。
転職先おすすめ③:エネルギー関連施設(浄水場など)
エネルギー関連施設の日鉄環境エネルギーソリューションでは、大規模な工場向けに、電気、純水、各種薬液などを供給しています。
大規模工場に供給するという点では、半導体工場と同じで、安定供給を維持することは容易なことではなく、運転監視業務は必要不可欠な業務と言えます。
朝日エンジニアリングでも、中央監視室のスタッフを募集しており、業務内容は上記とほぼ同様で、例えば停電時には、ほぼ全ユーティリティーでアラームが発報し、対応に追われることになります。
供給側の状況だけでなく、工場側の状況も把握した上での対応が必要となるので、かなり幅の広い経験が要求されます。
転職先おすすめ④:オリジナル製品生産半導体メーカー
近年は工場を持たない半導体メーカーが登場していて、設計は自社で行い、生産は他社の半導体工場で行うというもので、ファンドリーと呼ばれています。
ファンドリーを行っている半導体メーカーとしては、台湾のTSMCやUMCが代表的ですね。
ファンドリービジネスを展開している半導体メーカーでは、同一の工場で様々な顧客の製品を生産することになり、多くの製品が流れることになります。
それぞれの製品は生産条件が異なり、工場内の生産装置や計測器の使い回しが非常に複雑になるので、どうしても製造現場の部署がメンテナンスから進捗プランの立案まで、取り仕切ることになります。
そのあたりから、エンジニアと生産現場との間に軋轢が生じることになり、エンジニアは自らの仕切りで事を運べないことに不満を感じる事になり、それが転職の原因になることは、多々ある事です。
そこで、ファンドリーではなくオリジナルの自社製品を生産している半導体メーカーに転職するというのも、検討に値するかと思います。
オリジナルを生産している工場では、数種類の製品しか生産しないので、エンジニアの仕切りで事が運ぶ事になるでしょう。
日本国内の半導体メーカーは、ほとんどが自社製品を生産していますので、ファンドリーを行っている半導体メーカーで経験を積んだ方なら、自社製品を生産しているメーカーに転職することも困難ではないと言えます。
半導体業界からの転職必勝のコツ3選
本当に転職が必要なのか考える
転職のプロセスの第一段階は、半導体業界からの転職に限ったことではなく本当に転職が必要なのか否か、転職した場合としない場合で、いかなる違いが出るかを見極めることです。
先にも述べたように、半導体業界は長時間労働や深夜労働が常態化されていますが、それも見方を変えれば、それなりの手当てが支給されるので、収入面で大きな差異が生じることになります。
半導体業界は収益が不安定なので、賞与をはじめとした収入面も非常に不安定となります。
しかし、業種別の年収ランキングをみると、どのサイトでも半導体業界は上位にランクインされており、他業界に転職するとかえって収入が下がってしまう恐れもあります。
情報収集を怠らずあらゆる手段を使う
求人情報はハローワークにしかないものでありません。半導体業界からの転職だと、むしろ求人情報サイトや転職エージェントを利用する方が一般的でしょう。
転職の目的が、不満を解消する為でも、スキルアップをはかる為でも、その目的を成就できるだけの情報を収集しなければなりません。
例えば生産装置の維持管理の仕事の求人広告を見ても、そこには記載されていない現実が存在するに違いありませんよね。
危険な仕事があるかもしれませんし、力仕事があるかもしれませんので情報収集は慎重にかつ時間をかけてあらゆる手段を使って行う必要があります。
職務経歴書、履歴書、面接時の想定問答
情報収集して転職を希望する企業が決まったら、職務経歴書や履歴書を作成しなければなりませんし、面接に向けて、想定問答などの準備も必要となるでしょう。
履歴書・職務経歴書の作成
特に職務経歴書と履歴書は応募後の第一段階なので、書類選考に通過するためにも慎重に作成する必要があります。
職務経歴書には、半導体業界で身に着けた事を簡潔に記載する必要があります。
単に生産設備の維持管理と記載するよりも、具体的にどのようなメンテナンスをしていたのか?トラブル対応もしていたのか?他部署とのやりとりはどのようなものだったのか?など、具体的に記載する必要があります。
模擬面接の面接対策
書類選考を通過出来たら、次は面接です。
何を聞かれるかわからないので、事前に想定問答を作成して、様々な質問に適切に対応できるようにしておかなければなりません。
どのような内容の想定問答を作成すればいいのか、ここでも転職エージェントを活用するなどして情報収集が必要となります。
半導体業界からの転職先をもっと知るには?
先ほど解説したような転職活動の準備を自分でやるのは非常に困難と言えます。求人情報は膨大な量が出回っていますし、面接時の想定問答も自分自身で作成できるものではありません。
業界特有のメリット、デメリットについても、あらゆる情報が出回っており、どの情報に基づいて転職活動を進めればよいのか戸惑ってしまいます。
そこでおすすめなのは、1人で転職活動を行うのではなく転職のパートナーである転職エージェントを利用して一緒に進めていくという方法です。

数ある転職エージェントの中でも、特に転職に役立つ転職エージェント『doda』『マイナビエージェント』を活用しましょう。
dodaやマイナビエージェントには単に求人情報だけでなく、情報収集、職務経歴書の作成方法、面接対策など、転職に必要なあらゆる情報が網羅されています。
オンラインでのキャリアカウンセリングも行っており、専任のキャリアカウンセラーに様々なアドバイスをしてもらうこともできます。
一人で転職活動を進めるよりもカウンセラーの意見を参考にしながら進めた方が、より自分に適した転職を実現できることでしょう。
