転職エージェントに登録をする時「大手と中小のエージェントどちらがいいのか?」と悩んだことはありませんか?
私は大手転職エージェントでキャリアコンサルタントとして転職支援を行った経験と、人材ベンチャーを立ち上げ、中小転職エージェントでのキャリアコンサルタントとしての両方の経験を持っています。
ここでは、大手と中小の転職エージェントの違いやメリット・デメリットについて、両エージェントで働いた経験を元に徹底解説して参ります。
それぞれの特徴や違いを把握すれば、あなたにとって最高の転職先を見つける可能性がグンと高まってくるでしょう。
A.S.
大手転職エージェントにてコンサルタントとして、
経理・財務・人事・営業・エンジニア・経営者層など幅広い領域の転職をサポート(※事業責任者経験あり)。
キャリア系ビジネス書で商業出版の経験複数冊。
目次
転職エージェントの大手と中小の利用率
まず転職エージェントにおける〝大手〟と〝中小〟の定義を線引しておきましょう
大手転職エージェント | 都心に本社を構え、全国展開を行う。 |
中小転職エージェント | 異業種の大手企業のグループが母体となる。 |
そもそも、転職エージェントを利用する人のうち、何割が大手を利用し、何割が中小を利用するのでしょうか?
日本の人材ビジネス(リクルートワークス社発行)によると、2015年の人材ビジネスの売上高において、1位がリクルートHDで約1兆2千億。2位はテンプスタッフHDで約5000億。3位が約2,600億でパソナグループの順になっています。
2015年は、約34万人が人材紹介会社を利用して転職したとされていますが、その年のリクルートエージェントは、約3万人の転職をサポート。
つまり、リクルートグループでは約1割。売上高の比率から、テンプスタッフグループと、パソナグループで全体の約1割近いサポートが実現していると推定すると、大手3社だけで全体の2割近い転職サポートが実現されていると言えます。
リクルートエージェント、doda、パソナキャリア3社の大手転職エージェントを含めると、3割~4割が大手転職エージェントを利用して転職を成功させ、6~7割が中小転職エージェントを利用して転職を成功させたと見られます。
大手転職エージェントのメリット
ここでは大手転職エージェントのメリットについてご紹介をしていきます。
幅広く、豊富な求人がある
蓄積された転職ノウハウ
全国に支店がある
同姓の担当者を希望できる
順番に解説して参ります。
幅広く豊富な求人がある
大手転職エージェントには、規模のメリットを活かした豊富な求人があり、多様な業界や職種が紹介可能です。
ライバル企業に動向を探られたくなかったり、社内に求人募集をしていることを知られたくないなどの理由から、非公開求人も多数取り扱っています。
多くの企業にアプローチが可能ですので、転職の可能性も広がっていくでしょう。
蓄積された転職ノウハウ
大手転職エージェントのメリットの1つが、圧倒的な情報量です。
多数の転職サポート実績から、
・どんな職務経歴書が魅力的なのか
・どのように面接で伝えれば内定が得られるのか
・どのように年収交渉を行えば年収がアップするか
…etc
といった転職成功のためのノウハウが日々蓄積されています。
こうした転職ノウハウを自分の転職活動に活かすことで、自分に合った企業を見つけることに役立ちます。
全国に支店がある
大手転職エージェントは、主要な地域に事業所や支店を出しています。
転職を考える側からすれば、自分の地元に支店があると、身近に思えて相談しやすく感じますよね。
大手転職エージェントは東京勤務や大阪勤務の求人ばかりではなく、その地域に根ざした事業展開をしている中小ベンチャー企業と、密な関係を築いていることも少なくないのです。
地元で働きたいと考えている人にとっても、大手転職エージェントに登録する価値はあります。
同姓の担当者を希望できる
近年では女性の転職が増えているため、大手転職エージェントによっては担当キャリアコンサルタントを女性にしてもらうことも可能です。
大手パソナキャリアでは女性のキャリアコンサルタントが相談に応じくれて、子育てと仕事の両立など女性特有の悩みに寄り添って転職のアドバイスをしてくれます
※男性が女性キャリアコンサルタントを指名するのは不可です。。
大手転職エージェントのデメリット
続いて大手転職エージェントを利用するデメリットについても解説して参ります。
新卒社員が担当する可能性が高い
事務的で冷たい対応に感じる
強引に転職させられる
案件が豊富すぎて選べない
候補者のレベルが高いため、後回しになりやすい
順番に解説して参ります。
新卒社員が担当する可能性が高い
大手転職エージェントの多くは新卒採用に力を入れているため、新卒で入社した社員が担当するキャリアコンサルタントの職に就くことが珍しくありません。
一度も転職経験がない人が、転職相談の相手になる可能性が高くなります。
相談者によっては、居心地が悪く、「気持ちをわかってくれているのだろうか?」と不信感を抱いたり、「相談しにくい」と、感じるのも、大手転職エージェントのデメリットの1つです。
関連:転職エージェントの担当者変更方法と良質な担当者の見分け方
事務的で冷たい対応に感じる
大手転職エージェントとなると次から次へと登録者が増え、一人のキャリアコンサルタントにつき数十人近い人が書類選考や面接などで稼動をすることもあります。
そのため、スピード重視の対応となり対応の雑さが目立つようになります。
メールの文面も雛形が多くなり、電話や対面での相談も短い時間でいかに結論を出すかといった対応になりがちです。
「一生を左右する大切な転職なのに、担当者がビジネスライクで相談がしにくい」
「担当者の対応が雑」
と感じられてしまうのも、大手転職エージェントのデメリットの1つと言えます。
関連:【リクルートエージェント】「冷たい」「むかつく」など悪い評判
強引に転職させられる
大手転職エージェントのなかには、上場企業も存在しているため、常に業績を上げ続けることを余儀なくされています。
上場している大手転職エージェントの現場レベルでは〝数字のために、相談者を無理やり転職させる〟という営業姿勢に陥るケースが目立ちます。
こうしたことは、大手転職エージェントでは珍しい光景ではありません。
案件が豊富すぎて選べない
私が大手転職エージェントでキャリアコンサルタントをしていた頃、紹介をする案件に困ることは基本的にありませんでした。
しかし求人が豊富すぎるがゆえに、「どれを選んだらよいか迷う」といった悩みを持つ転職希望者も出てきます。
案件が豊富すぎて選べないのも、大手転職エージェントのデメリットの1つと言えるでしょう。
候補者のレベルが高いため、後回しになりやすい
大手転職エージェントのなかには、「一流の人材を一流の企業に紹介する」というプライドを持っているキャリアコンサルタントがいます。
学歴・職歴ともに申し分ない候補者を、大手企業の花形のポジションに送り込むことが、使命だと考えているのです。
大手の転職エージェントになればなるほど、ハイスペックの登録者が集まります。
見劣りする経歴だと、求人の紹介や面接対策など、サポートする優先順位が下がってしまう恐れがあると、知っておきましょう。
中小転職エージェントのメリット
では次に、中小転職エージェントを利用するメリットについて具体的にご紹介をしましょう。
専門に特化したエージェントがある
大手が拾いきれない求人がある
担当者が親身になって相談に応じてくれる
職場の雰囲気や実情を詳しく教えてもらえる
順番に解説して参ります。
専門に特化したエージェントがある
中小転職エージェントの中には業界や職種に特化したエージェントもあります。
たとえばアパレルやファッション業界の職種を専門に扱う転職エージェントであれば、取り扱い求人数だけを見れば大手転職エージェントよりも上回ることも。
業界に詳しく専門職としてのキャリア形成のノウハウが蓄積されているため、業界内でのステップアップを考える人は中小転職エージェントもお勧めです。
大手が拾いきれない求人がある
大手の転職エージェントは、有名企業や大量採用の案件を優先する一方で、無名のベンチャー企業や中小企業にはそれほど力を入れない傾向にあります。
しかし中小転職エージェントは違いを出すために、大手転職エージェントが拾いきれないニッチな営業案件を開拓しています。
大手では紹介されないような求人案件を紹介してもらえるメリットがあります。
担当者が親身になって相談に応じてくれる
大手転職エージェントが親身でないという訳ではありませんが、中小転職エージェントのメリットとして担当者が一生懸命やってくれる率が高い点が挙げられます。
登録者が大手に比べると少ないため、貴重な人材として扱ってくれるのです。
親身になって相談に乗ってくれて、面接対策や具体的なアドバイスがもらえるため、安心して転職活動に望むことができることができるはずです。
職場の雰囲気や実情を詳しく教えてもらえる
大手転職エージェントでは分業制を採用しているため、キャリアコンサルタントは紹介した企業に一度も訪問したことがなかったり、求人企業の担当者と面識がない場合もあります。
中小転職エージェントの場合、法人を担当するリクルーティングアドバイザーと、個人を担当するキャリアコンサルタントを、1人の担当者が兼務していることが多いため、職場の雰囲気や実情をダイレクトに説明してくれるメリットがあります。

分業制と両面性の違いについては「転職エージェントの両面型と分業型の違いとメリットデメリット」をご参考頂ければ幸いです。
中小転職エージェントのデメリット
これまで、中小転職エージェントを利用するメリットについて話をしてきましたが、次は、中小転職エージェントのデメリットについてご紹介しましょう。
求人案件が少ない
ダミー求人が多い
職種や業界に詳しくない
転職アドバイザーの仕事が専任ではない
順番に解説して参ります。
求人案件が少ない
中小転職エージェントに登録をした後で、「わざわざ出向いたのに、紹介された求人数が少なすぎる」と不満を持つ人がいます。
中小転職エージェントには大量の求人をカバーするだけの営業要員がいないため、大手転職エージェントに比べて求人数は少なくなります。
ダミー求人が多い
中小零細の転職エージェントになればなるほど、大手転職エージェントには正攻法では勝てないと思っているためか、ダミーの求人広告をサイト上で掲載をして登録者を集めようとします。
サイト上で掲載されている企業に応募しても、「厳正なる選考の結果、お見送りとなりました」と連絡が来ます。
その後、すぐに内定が出るブラック企業を紹介して話を進めようとする悪質な中小転職エージェントが存在しますので、注意が必要です。
職種や業界に詳しくない
大手転職エージェントでは、社内で情報を共有するイントラネットや人事担当者を招いた業界、職種の勉強会などが頻繁に行われています。
その情報に触れているだけで、業界や職種のトレンドを掴むことが可能です。
しかし、中小転職ベンチャーでは登録者が少ないため、転職成功のノウハウが溜まっていかず業界や職種の知識が浅いままのキャリアコンサルタントもいるのが実情です。
転職アドバイザーの仕事が専任ではない
中小転職エージェントになると、他の事業部と兼務をしているキャリアコンサルタントが少なくありません。
私の知っている中小転職エージェントでも、普段は広告代理店でWEB制作に携わりながら、片手間で転職支援事業を行っている会社があります。
転職支援にかける熱意も時間も、専任の転職エージェントに比べると格段に落ちることは否めません。
転職エージェントは大手と中小どっちが良いのか?
では結論として、大手転職エージェントと中小転職エージェントどっちを利用すべきなのか、それぞれに適した人について整理しておきます。
〜大手転職エージェントがお勧めの人〜
✅多くの求人から自分に合った転職先を見つけたい人
✅他人の転職事例が知りたい人
✅大手のブランドでないと不安な人
✅一定水準のサービスを求めている人
✅担当者の変更を希望したい人
〜中小転職エージェントがお勧めの人〜
✅細やかに行き届いた対応をしてほしい人
✅専門業界・職種に特化した転職サポートを受けたい人
✅求人企業と直接やりとりしている担当者から話を聞きたい人
✅転職先を選ぶより探したいタイプの人
大手は求人が多いだけに、紹介案件の中から自分に合った求人をキャリアコンサルタントに選んでもらうというスタイルが一般的になります。
限られた選択肢の中で転職先を選ぶことを受身だと感じるタイプの人は、大手転職エージェントよりも中小転職エージェントの方が合うでしょう。
反対に、「多くの求人から自分に本当に合った転職先を見つけたい」「少ない求人では不安」などと思う人には、大手転職エージェントがお勧めです。
